Bezos氏が1994年にAmazon(当初は「Cadabra」という名称だった)を設立した時、最大の強みは書籍の値引きだった。1997年に米CNETのRon Reagan記者がAmazonの倉庫を取材した際、Bezos氏はThe New York Timesのすべてのベストセラー書籍を3割引で販売していると誇らしげに語った。この時の動画では、配送担当者が注文をプリントアウトし、手で書籍をピックアップしているのを見ることができる。
これは、ロボットと自動システムが稼働するマサチューセッツ州フォールリバーの広大な配送センターとは大違いだ。この配送センターは120万平方フィート(サッカー場26個分)の広さで、「iPhone」の充電器から等身大の雪男像まで、あらゆるものを出荷している。
2005年に米国でスタートしたAmazonプライムも大きく変わった。スタート段階では、サブスクリプション料金だけで何回でも使える、2日以内の配送を約束するサービスだった。これはCostcoなどが提供している、月額料金を払うことで値引き商品を購入できる会員制倉庫型小売りプログラムを真似たものだった。
同サービスは開始当初、「あるといい」程度のものだったが、Amazonが商品在庫を増やし、大手スーパーのWalmartやKmartよりも安く販売することが増えるにつれ、より便利になった。Amazonは、オリジナルコンテンツを含む動画配信サービスや写真ストレージ、電子書籍、ゲームをプライムサービスに追加していった。Amazonは2020年、プライム会員が19カ国で1億5000万人に上ることを明らかにした。
Bezos氏は2010年、オリジナル映画製作スタジオAmazon Studiosを立ち上げ、Amazonを映画業界に参入させた。Amazon Studiosは当初、同社が自費出版事業で書籍にもたらしたのと同じ破壊的変化を意図したものだった。最初は、ハリウッドの登竜門にはたどり着けないアマチュアの脚本家や映画製作者の中から才能を掘り起こす目的で立ち上げられた。アマチュアが書いたベストセラー小説「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の動画版を見出す目的だ。
だが、既に映画やテレビ番組製作に熟練したプロに多額の金を払う(つまり、Netflix方式)方がよりよい成果を得られることにAmazonが気付くまでに、そう長くはかからなかった。Bezos氏はアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞の授賞式によく登場するので、同氏はおそらく一般大衆にはAmazon Studiosの関係者として認識されているだろう。
あらゆる事業の成長で、Amazonは大規模雇用主になった。注文量の増加に追いつき、あらゆるものに対する需要増加に対応するため、この1年だけで数十万人の従業員を雇用した。
あまり目立たないがプライムと同様に重要なのが、プライム開始の翌年に立ち上げられたオンデマンドのクラウドコンピューティングサービス、AWSだ。Jassy氏の下、AWSは市場のリーダーに大躍進した。Amazonの売り上げ増加を後押ししたのはプライムの需要だが、AWSは長年、営業利益の原動力として機能してきた。
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