仮想現実(VR)ゲームのようなVRコンテンツは、VRゴーグル装着者しか体験できないため、VRゴーグルを使っていない周囲の人と楽しみを共有しにくい。装着者が見ている映像を大きな別の画面に表示する、といった工夫が必要になる。そうしたアイデアの1つとして、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、スマートフォンのようなデバイスでVR世界をのぞき見る技術を特許出願した。
SIEは、アイデアをさらに発展させ、VRゴーグル装着者と周囲の人がVRコンテンツを一緒に楽しむための技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間1月28日に「INTEGRATING AUDIENCE PARTICIPATION CONTENT INTO VIRTUAL REALITY CONTENT」(公開特許番号「US 2021/0026588 A1」)として公開された。出願日は2020年10月13日。
この特許は、VRゴーグル装着者の見ているVRコンテンツを何らかの方法で周囲にいるほかの人にも見せ、周囲の人もVRコンテンツの操作者となれる、“観客参加型VRコンテンツ”を実現するためのもの。まず、VRコンテンツ実行中に、ある場面で周囲の人に参加するよう求める。そして、参加者となった人には、適当なタイミングでVRコンテンツへ働きかけられるように制御する仕組みだ。
たとえば、VRゴーグル装着者のプレイしてるゲームがシナリオ分岐点に到達したタイミングで、装着者(プレイヤー)へ与えるゲーム内アイテムの選択肢を参加者の見ている画面に表示し、投票でアイテムを決定する、といった動作が可能になる。参加者向け画面としては、各自が持つスマートフォンやタブレットのようなデバイスでもよいし、全員が見る大きなディスプレイでも構わない。
VRコンテンツに対する投票などの働きかけは、カメラにQRコードを示したり、スマートフォンのボタンをタップしたり、音声コマンドを発したり、さまざまな方法が考えられる。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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