ベータ版で重要な点のひとつは、まだアプリの仕組みを検討中の段階であり、一般への門戸開放を避けていることだ。だが、何か閉鎖的なものを作ると、人は余計にそれを求めたくなる。欲しくても手に入らないものだからだ。
Clubhouseに、実際にどのくらいのユーザーがいるのかは分からないが、1つのroomが2000人を超えることもある。招待を受けるには、既にClubhouseユーザーになっていて、かつ招待枠を持っている知り合いが必要だ。参加すると、自分のプロフィールには招待者としてその人のアイコンがずっと表示される。「Android」ユーザーは、残念ながらまだ対象外だ。
2020年7月、Davison氏とSeth氏は公式サイトに掲載した記事で、Clubhouseのコミュニティーをゆっくり成長させたいと述べていた。
「その方が破綻を避けられるし、コミュニティーの構成が多様になり、成長に合わせてプロダクトを良くしていける」。2人はそう説明し、Clubhouseのチームは小規模だとも述べた。
Clubhouseがヒットしたのは、リアルで集まるのが無条件に危険な時代だという理由もある。自宅や自室に籠もりっきりの人が増え、世界中の人とつながって実際の声を聞けるというのが魅力的なのだ。
「声はとてもリアルだ。みんなと一緒に声を立てて笑った」と話すのは、トロントに住むソーシャルおよびデジタルストラテジストのCasie Stewartさんだ。Clubhouseを使い始めて1週間余りになる。
招待してくれる人をどこで見つけるかという問題は別として、Clubhouseをめぐる大きな疑問のひとつが、一般公開後にどう成長し、ユーザーがどう使うようになるか、ということだ。
シリコンバレーを肯定する層にとって、Clubhouseはテクノロジー業界の上流階級と知り合うチャンスだ。例えば、Redditの創業者Alexis Ohanian氏、ベンチャーキャピタリストのMarc Andreessen氏やBen Horowitz氏(Clubhouseへの出資者)、Product Huntの創業者Ryan Hoover氏などが参加している。Pinterest、GitHub、Robloxの各最高経営責任者(CEO)もClubhouseのアカウントを持っている。
もちろん、常にそうした人がいるとは限らない。それに、言うまでもなく、Clubhouseは決してシリコンバレーのトップたちに謁見する場というだけではない。roomはたくさんあり、デートやセックスから、作曲や音楽業界などまで話題は多岐にわたっている。映画やテレビにおける黒人の描写についてもっぱら語るroomもあれば、クリスマスはどうやって盛り上がるんだというroomもある。そして、マーケティングやブランディングの場となっているケースも多い。「South by Southwest(SXSW)」などの大規模イベントが軒並み中止になってから、作品、製品やサービスを紹介できる場所となっているのだ。
Stewartさんは、Clubhouseを使っているとTwitterの初期の頃を思い出すという。デジタル人類学者であり、Salesforceのグローバル・イノベーション・エバンジェリストでもあるBrian Solis氏は、Davison氏と面識があって、ほぼ最初からClubhouseを使っている。そのSolis氏も同意見で、ユーザーが集まってオンラインで意見を交わす様子を懐かしんでいる。SXSWのようなイベントの発展とも共通点があるとして、SXSWも最初の頃の方が親しみやすく素朴な雰囲気だったと話す。
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