Clubhouseには、まだ解決すべき問題点もいくつかある。ある晩の新メンバー向けroomでは、roomも「club(クラブ:特定のトピックに関心のあるユーザーのグループ)」も、もっと見つけやすくしてほしいという意見が出ていた。
これが大々的に実現すれば、正式公開後の人気に大きく関わってくるだろう。
「ユーザーエクスペリエンスがどんなものになるか、考え始めなければならない。ユーザーが、興味のある会話を適切なタイミングで見つけられるように、そして、会話を自分で始め、それに興味のある人を呼ぶことができるようにするために」。Solis氏はこう指摘している。
次に、ハラスメントにどう対処するかという問題がある。通報や削除をすべき投稿というものがない状況では特に難しい。また、ソーシャルメディアネットワークの多くが痛感しているように、どんな発言を誰が適切、不適切と判断するかは、実にあいまいだ。
2020年の夏、The New York TimesのLorenz記者が、あるroomのトピックになったことで、Clubhouseは立ち上げ以来最も大きく話題をさらうことになった。Motherboardの報道によると、テクノロジー系報道機関、具体的にはLorenz記者の役割に、ベンチャーキャピタリストたちが異を唱えたのだ。Vanity Fairも、Clubhouseで反ユダヤ的な内容や人種差別的な内容が見られたとして懸念を表明している。Stewartさんが最初の頃に入ったあるroomでは、性的な夢想を生々しく描写し始めるユーザーが現れ、モデレーターによって退室させられたこともあるという。
音声である以上、攻撃的と判断しうる意見であっても、発言と同時に消えてしまうため特定が難しいという問題もある。Clubhouseのコミュニティーガイドラインには、問題のあるユーザーをリアルタイムで報告する機能があり、Clubhouseは「インシデント調査の目的で、音声の録音を暗号化したうえで一時的に」保持できると書かれている。
「いわゆる適切な会話と不適切な会話をどうやって判定するのか、またそれを誰が判定するのか」とLi氏は言うが、今のところはユーザーベースの多様性に安心しているとも付け加えている。「多様な人の声が集まれば、それが最高のモデレーションになると期待できる」
Clubhouseのような場は、助言や友情を求めてくる個人ユーザーだけのものには決してならないだろう。
マーケティング担当者やブランドスペシャリストが、早くも次の展開について検討している。Li氏も、Clubhouseはその閉鎖性を活用できると考えている。例えば、あるブランドがClubhouseで何らかのトークイベントを主催し、それを他のプラットフォームで宣伝して、Clubhouseに料金を支払って参加者を招待する、といった使い方だ。
「ブランドが討論会やコンテストを実施したりする、あるいは専門家とのチャットを(主催)するなどの機会が生まれる」(Stewartさん)
Clubhouseはライブパフォーマンスやコンサート、ポッドキャストなどの会場に、あるいは1900年代なかばのラジオ番組に似た発信拠点になり、その一部を有料化できるのではないか、とScruggsさんは想像している。もっと個人的なレベルでScruggsさんが希望しているのは、特にスポーツの世界に焦点を当てて、社会的責任やダイバーシティーに手を広げることだという。12月、Scruggsさんは「プロスポーツのチームと選手は、どうすれば有意義な活動に専念できるのか」というトピックのroomを主催した。Scruggsさんにとって、Clubhouseはその分野で学び、人とつながり、そして自分自身を売り出す場なのである。
「Clubhouseでは、roomに誰が来るかは文字通り全く分からない」(Scruggsさん)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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