Holmesが考察するAfterハンコの契約マネジメント - (page 2)

杜多真衣 (Holmes)2021年01月27日 07時30分

契約にまつわる現場の困りごとを解決するために必要な観点

 では、こうした契約業務の本質的な課題を理解し、現場の困りごとを解決するためには、どうすればよいだろうか。Holmesは、契約業務を最適化し、生産性向上を実現するためには、 契約関連情報・契約プロセスを可視化できる「契約プロセス構築」と、法務業務を効率化する「契約管理」の、2つの観点が必要であると考える。

1. 契約関連情報・契約プロセスを可視化できる「契約プロセス構築」
まず、「契約関連情報・契約プロセスが可視化できていない」という困りごとを解決するためには、自社に最適な契約プロセスの構築が必要である。

 たとえば、多数の契約が発生する事業においては、契約書の法務レビューはワークフローツールを使い、締結は紙の契約書で実施、保管は契約書をスキャニングしてExcel台帳にて管理など、様々なツールを組み合わせて契約管理を行うケースも多い。

 しかし、こうした煩雑なフローでは、契約プロセスの可視化が困難となり、重要な契約書の更新締結漏れや管理不備のリスクが生じる。そこで、相互に関連する複数の取引先との契約や、その締結前後に発生する業務なども含めた業務プロセスの課題を洗い出し、最適な契約プロセスを再構築することが必要となる。

契約プロセス構築のイメージ図
契約プロセス構築のイメージ図

2. 法務業務を効率化する「契約管理」
 次に、「法務業務が非効率で時間がかかる」という困りごとを解決するためには、最適な契約管理が必要である。そのためには、ガバナンス上必要な契約書の適切な管理体制を整えるだけでなく、関係者が契約にアクセスしやすい環境(契約がどうなっているのか分かる、契約書がどこにあるのか分かる)の整備が必要となる。

 また契約書については、現在Excelや契約書管理台帳で管理している企業も多いが、こうした管理では履行の期日・更新の期日等を見落とす可能性が生じ、最適な契約管理としては不十分である。契約管理システムを活用することで、こうした見落としを防ぎ、最適な契約管理体制を構築することが可能となる。

契約法務のDXで実現できる具体的な効果
契約法務のDXで実現できる具体的な効果

契約の本質的な課題解決に必要な「契約マネジメント」

 上記で述べた契約プロセス構築と契約管理をワンプラットフォームで実現するソリューションが、契約マネジメントシステムである。契約マネジメントシステムを導入することで、最適な契約プロセスの構築と、発生・更新・変更・終了という契約のライフサイクル全ての一元管理をオンライン上で行うことが可能となるのとあわせて、企業は契約の本質的な課題を解決し、契約関連業務の効率化と生産性向上を実現できるようになる。

契約マネジメントシステムの導入で、契約ライフサイクルを管理
契約マネジメントシステムの導入で、契約ライフサイクルを管理

契約業務は「リレー」。契約プロセスの構築がより重要な時代に

 このように、契約の本質的な課題を解決するためには、「契約プロセス構築」と「契約管理」という2つの視点が重要となる。プロセス構築は、契約領域のみに留まらず、行政領域や管理領域、営業領域など全ての領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するために、不可欠な視点である。

 たとえば、アメリカはサイン文化だが、DocuSignのような企業がコロナを機に株価を4倍ぐらい上げている。そして、多くのCLMプロダクトが登場し、ユニコーン企業が出現している。それはなぜか。こうしたプロダクトが世界で必要とされる理由を考えた時、ハンコが問題の根本ではないことは容易に想像できる。

 こうした世界の潮流を鑑みても、契約のプロセスと本当に向き合う「アフターハンコの時代」が必ず来るとHolmesは考える。日本でもリモートワークの増加により、契約プロセスをしっかり構築することの重要性がより増してきているからだ。

 契約業務というのは、リレーである。多くの企業で契約業務は、関係者間のバトンパスを通して進めていく。リモートワークが定着すると、より情報のバトンは渡しづらくなる。そのため、リモート時代の方がより契約プロセスの構築が重要となってくる。

 そして、適切に設計したプロセスに沿って行われる契約業務を、クラウド上で管理・可視化することで、関係者がいつでも必要な情報にアクセスすることが可能となり、ビジネスの機会損失とリスクを減らす、最適な契約マネジメントを実現できるものと考えている。

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