パナソニック、CES 2021に専用サイト--最新空調システムから進化したVRグラスまで

 米国時間の2021年1月11日~14日までの4日間、テクノロジーイベント「CES 2021」が、完全デジタルで開催される。主催者である全米民生技術協会(Consumer Technology Association=CTA)によると、オンライン上に1800社以上の企業が出展し、会期中に100以上のプレスカンファレンスが予定されているという。

 毎年、ラスベガスコンベンションセンター(LVCC)のセントラルホールに、大規模ブースを構えて出展を続けているパナソニックも、CES 2021に出展する。

 同社は、オンラインで開催された2020年秋のIFA 2020や、CEATEC 2020 ONLINEといったデジタル分野の大規模イベントへの出展は見送っていたが、CES 2021では専用サイトを開設して、商品やサービスをグローバルに発信。さらに、独自企画として、CESに出展する製品のうち、日本市場向けに訴求ができるテーマについては、日本語で紹介するとともに、東京・有明のパナソニックセンター東京に会場を構え、招待者などに限定して、商品を体験できる機会を提供するといった力の入れようだ。

日本市場向けに訴求ができるテーマについては、東京・有明のパナソニックセンター東京に展示会場を構える
日本市場向けに訴求ができるテーマについては、東京・有明のパナソニックセンター東京に展示会場を構える

 パナソニック ブランド戦略本部スペースクリエイツ部スペースメディア戦略室 展示・イベント課 主務の橘匠実氏は、「北米における当社のブランドプラットフォームである『Technologies that move us』を前面に打ち出しながら、社会が苦境に面しているなか、ともに前に進み続けるという意味の『Forward Forever』をサブテーマとして、パナソニックの最新の技術や、北米事業を中心としたソリューションを紹介する、また、これとは別に、国内で開発を続ける新規事業テーマを、日本の顧客に向けて発信する場を用意し、2本立てで展開することになる」とした。

 また、パナソニック ブランド戦略本部スペースクリエイツ部スペースメディア戦略室の藤谷晃久室長は、「CES 2021では、英語によるオンライン展示だけで、すべての情報が展開されるため、日本のお客様には伝わりにくいと感じ、日本語により、日本のお客様に情報を発信したいと考えていた。そのなかで、日本において、リアルでの展示を行い、限定した招待客にだけ公開することを決定した。新規事業に取り組んでいる担当部門からも、日本のお客様に直接説明をする場が欲しいという要望があった」と説明する。

 CES 2021の専用サイトでは、出展商品の詳細をデモ動画などで紹介する「Product gallery」、経営幹部や事業担当者によるオンラインセミナーを配信する「Tech Talks」を用意するという。

 オンライン上の製品展示では、くらしをアップデートしていく姿を、「Entertainment」「Smart Mobility / Automotive」「Sustainability」「Lifestyle」「Wellness」「Food Retail」の6つのカテゴリで紹介。「カルーセル」と呼ぶメインナビゲーション画面から、画像をクリックすると、体験エリアに移動できたり、「最新パナソニック情報」のアイコンからは、Tech Talkのスケジュールを見ることができたり、イベントや特別放送、デモンストレーションなど、CES 2021におけるパナソニックに関する情報が表示される。さらに、最新ニュースが表示されるニュースルームからは、ダウンロード可能な発表資料や製品情報も入手できる。

昨年展示したVRグラスが画質、音質をさらに進化

 「Entertainment」としては、さまざまなAV機器群の説明のほか、次世代ライブ映像システムと位置づけるIT/IPプラットフォーム「KAIROS」などを通じて、スタジオやeスポーツの会場向けにライブ映像演出を訴求するAVソリューションを展示する一方、HDR対応のOLEDパネルとTechnicsのデジタルアンプを採用した小型軽量のVRグラスも展示。また、「Sustainability」のコーナーでは、民生用から車載用まで幅広い用途を提案しているリチウムイオン電池の歴史や技術的優位性などを紹介する。

 「AVソリューションでは、eスポーツ会場やライブ会場において、撮影、編集、配信まで一貫したソリューションを提供できることを訴求する。VRグラスは、2020年のCESで参考展示したものを進化。画質と音質をさらに強化した」という。

「VRグラス」は、HDR対応の有機ELパネル、テクニクスのデジタルアンプを採用し、小型、軽量、高画質を実現する
「VRグラス」は、HDR対応の有機ELパネル、テクニクスのデジタルアンプを採用し、小型、軽量、高画質を実現する

 また、「Lifestyle」として、統合コントロールアプリや全熱交換器、送風システムなどの組み合わせによって、自宅内の空調を清潔に管理する換気統合制御システム「cosmos」のほか、Technicsのターンテーブルや完全ワイヤレスヘッドホン、「 LUMIX S5」シリーズ、有機ELテレビ「J-Z2000 4K OLED」、SoundSlayerゲーミングスピーカーなどの北米市場向け最新家電製品、耐久性や耐熱性、省エネ性に優れた住宅用および冷蔵ショーケース向け真空断熱ガラス、新しいコミュニケーションのありかたを提供するデバイス「EM1(仮称)」が出展される予定だ。

 「cosmosは家庭内の空気を管理するもので、スマホアプリで利用できる。また、EM1(仮称)は、グループ会社であるShiftallが開発したものであり、CES 2021の会場で新たに発表するものになる」とした。

 さらに、「Smart Mobility / Automotive」では、車内システムと路側機(RSU)、IoTデータを統合した交通管理ソリューション(V2X=Vehicle to Everything)である「Cirrus by Panasonic」を展示。二輪車や電動モビリティ向けに開発した365日24時間対応のテレマティクス制御ユニット(TCU)搭載車両管理ソリューション「OneConnect」や、eCockpitやHUDなどの車載ソリューション、ナノイーによる空気清浄やタッチレス型エンターテイメントシステム、機内誌の電子化など、ニューノーマルに対応した旅行体験を実現するアビオニクス事業の取り組みを紹介。「Wellness」では、センサーやデバイスがひとつの空間に搭載され、ユーザーが快適な時間を過ごすことができる人体センシングデバイス群、気分や体調、表情の3要素を解析して、一人一人の状態を288通りのオーラで可視化するaura meditationを展示する。また、「Food Retail」では、ハスマンによるスマートロッカーや、飲食店向けソリューション「ClearConnect」、店舗向けソリューション「StoreConnect」を展示する。

 「人体センシングデバイス群は、インダストリアルソリューションズによる展示であり、Health Labというシーン展示を行うことになる。また、aura meditationは、これまで感情センシングとして展示を行ってきたものであり、カメラを使ってバイタルデータを計測。個性やキャラクターといったものを表現できるインスタレーションになる。デザイン部門と連動した展示になる。コロナ禍において、人と関わる機会が減るなかで、自らを見直すきっかけになったり、自分らしさに気がつくこともできる。セラピーのような形での利用も想定している」という。

気分、体調、表情の3要素を解析、一人一人の状態を
全288通りのオーラで可視化するインスタレーション「aura meditation」
気分、体調、表情の3要素を解析、一人一人の状態を 全288通りのオーラで可視化するインスタレーション「aura meditation」
解析結果が表示されたところ
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 オンラインセミナーである「Tech Talks」では、北米のパナソニック社員が講師となり、技術や製品の説明だけでなく、事業概要やCSR活動まで幅広い内容を用意しているという。また、主催者であるCSAによるCSAパネルセミナーでは、「Immersive Entertainment – eSports and education」、「Battery Innovation」をテーマに、パナソニック社員が講演する予定だ。

商品担当者と1対1ミーティングも

 一方、日本国内向け発信では、独自のオンラインイベント「CES2021 Panasonic in Tokyo」として、新規事業として開発しているパナソニックグループ各社の製品やサービスをセミナー形式で紹介したり、商品概要を動画で紹介したりするほか、興味を持った商品の担当者と1対1でオンラインミーティングできる場も提供するという。

 ここでは、先に触れたVRグラスや真空断熱ガラス、aura meditation、EM1などを展示。さらに独自展示として、「Innovation」という切り口から、歩行アシストロボットを活用したリハビリサービス「ことほ」、新たな食文化を提供するチョコレートドリンクを提供するミチバチプロダクツ、嚥下障害を持つ家族をサポートする調理家電「GIFMO」、お菓子や軽食を届ける置き型オフィスコンビニ「totteMEAL」、狭小および省人による次世代型飲食店ソリューションを提供する「OniRobot」を紹介。また、パナソニックインドが開発し、日本や北米への展開を予定している製品として、ビーコンを内蔵して人や物の位置を検出する忘れ物防止タグ「Seekit」、家電などのデジタル保証書アプリ「eCareWiz」、IoTボタンやAIカメラを組み合わせたスタジアム向けアンケートシステム「ENY feedback」も展示する。

パナソニックインドが開発し、日本や北米への展開を予定している製品として、ビーコンを内蔵して人や物の位置を検出する忘れ物防止タグ「Seekit」
パナソニックインドが開発し、日本や北米への展開を予定している製品として、ビーコンを内蔵して人や物の位置を検出する忘れ物防止タグ「Seekit」
IoTボタンやAIカメラを組み合わせたスタジアム向けアンケートシステム「ENY feedback」
IoTボタンやAIカメラを組み合わせたスタジアム向けアンケートシステム「ENY feedback」

 さらに、どこでも展開可能な移動コミュニティのプロトタイプである「100BANCH BOX SQUARE」、コーヒー焙煎を軸に、IoTを活用したさまざまなサービスを提供する「The Roast」、近くで浴びても濡れを感じにくい「シルキーファインミスト」、未来につながる循環型農業を目指したクラウドサービス「栽培ナビ」および「栽培ナビドクター」も出展する。

「100BANCH BOX SQUARE」は、どこでも展開可能な
「移動コミュニティ」のプロトタイプ。カフェスタ
イルで来場者に「カカオドリンク」や「かまいりウーロン」などのドリンクを提供する
「100BANCH BOX SQUARE」は、どこでも展開可能な 「移動コミュニティ」のプロトタイプ。カフェスタ イルで来場者に「カカオドリンク」や「かまいりウーロン」などのドリンクを提供する

 「SeekitやeCareWiz、ENY feedback は、2020年に立ち上がったクロスボーダー準備室により、海外各地域で事業化した新規ビシネスを日本や北米に展開していくものである。今後は、日本向けにローカライズしてBtoB展開も視野に入れている。また、GIFMO、こと ほ、GIFMOは、BeeEdgeの出資により、アプライアンス社から独立したサービスとなる」という。

 さらに、日本国内向けオンラインセミナーでは、開発担当者が顧客やパートナー企業とともに、各事業の最新状況について紹介する予定であり、「毎日を再発明する“未来のカデン”とは~新しい生活様式への挑戦」、「コーヒー焙煎サービス『The Roast』が届ける新たな価値とは」などのテーマで11本のセミナーが行われる。

 また、CNET Japanの編集長である藤井涼をはじめ、各メディアの編集長によるCES 2021の見どころについて語るオンラインセッションを用意している。なお、招待者に限定して公開されるパナソニックセンター東京での展示では、VRグラス、やaura meditation、EM1、Seekit、ENY feedback、100BANCH、シルキーファインミストの展示が行われる。

オンラインセミナー、セッションを実施するステージ
オンラインセミナー、セッションを実施するステージ

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