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【事業開発の達人たち】目指すは時計界のGoogle?--ソニー最年少統括課長がしかけるエコシステム戦略 - (page 2)

永井公成(フィラメント)2020年12月03日 08時00分
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「少量多品種」の時代へ

角氏:對馬さんが何歳ぐらいの時からそういうことを考えるようになったんですか?

對馬氏:実は僕は大学生の時に、顕微鏡を作るベンチャー企業でバイトをしていたんです。何の戦力にもなれなかったのですが……(笑)

角氏:顕微鏡のベンチャー企業?

對馬氏:そうです。ラマン顕微鏡っていうレーザーあてて散乱の仕方を見て、どの物質が分かるというのがありまして。

角氏:すごい!そんなのがあるんだ。

對馬氏:本当にめちゃくちゃ高性能で、年間で数台売れば十分儲かりますみたいな感じの、少量多品種の極みみたいなことをやってるところがあるんです。その会社を作った教授と仲が良くていろんな話をしてる時に、今までは少品種大量生産の時代で、これからは全部逆だみたいな話をしてて。

 その中に「少量多品種」っていうワードがあり、それが自分の中ではすごく納得感があったので、それができるメーカーが生き残っていくんじゃないかなと思っていましたね。例えばガーミンのスマートウォッチとかもめちゃくちゃ種類いっぱい出てますし、腕時計もすごく種類があると思うんですけど、そういう少量多品種をつくれるような体制を作れるメーカーが強いんじゃないかなっていうのは、その当時から言ってます。

角氏:僕らが最初に会った時って、對馬さんまだ大学院生の頃だったじゃないですか。あの時にはもうすでに……。

對馬氏:少量多品種のことを考えていましたね。

角氏:なるほど面白い!それが時を経てwena 3につながっていくんですね。

 
 
 

wena 3のチームマネジメント

角氏:ところで、今はwenaのチームって何人なんですか?

對馬氏:業務委託とか合わせると20人ぐらいなんですけど、社員は10人ぐらいです。

角氏:チームのマネジメントって、對馬さんがやってるんでしょ?對馬さんは就任当時ソニーの最年少統括課長ですごいなと思いますけど、その一方ですごく大変なんだろうなと思うんですよね。マネジメントとかって別に誰も教えてくれないじゃないですか。

對馬氏:でも、この事業がやりたくてチームに入ってきている人たちなので、すごくモチベーション高く仕事をやってもらえるのは、いいところだと思います。「ジョブローテーションで来ました」という人たちも入ってくると、なかなか大変だとは思うんですけど。wenaの場合は完全に自分でプロジェクトメンバーを集めて自分たちで事業をやるって形なので、スタートアップに近いと思っています。なので、あまり大きな課題を感じることはなかったですね。

角氏:みんなに聞かれると思うんですけど、そういう新規事業の進め方って、多分ほとんどの会社ができてないですよね。そういうチームメンバーの引き抜きでも、多分1年待ってくれとか、少なくとも半年待ってくれってなると思うんですけど、ソニーはどうなんですか?

對馬氏:人事制度として、社内募集制度があります。年に2回の「大募集」や、随時募集される「特別募集」などがあり、いずれも上司の許可なく自由に応募することができます。

 この制度を使うと、限られた回数の募集を待って、希望する移動先に応募して、そこと話して、受かって、という形になるので、少し時間がかかるんです。でも、それをショートカットする手段として、「こういう制度を使えば異動はできます。でも、それだと今の職場にご迷惑をお掛けしてしまうことになるので、今日はどういう時期だと異動の調整がしやすいですかってことを聞きに来ました」みたいなスタンスで、向こうの上長とかに話をしに行くと、まずは話を聞いてくれる可能性がすごく高いんですね。どっちみち異動するんですけど、迷惑にならない時期を相談しに来ましたって言われたら、悪い気はしないじゃないですか。

角氏:悪い気しない!

 
 

對馬氏:なので、「それだったらこの間に代わりの人をとらないといけない」と準備もできます。そうするとすごく早くできるケースが多いんですね。3カ月とかで。

角氏:めっちゃいい!なるほどね。

對馬氏:そういうふうに打診すればいいって気づくまでに、怒られたこともたくさんあったんですけど、最終的にはそうやって打診したら怒られないんだというのが分かりました。

角氏:そういう感じなんですね。既存の制度を使いつつ、その中でよりスムーズに動けるように調整をすることによって、結果的に早くなるという感じなんですね。なるほどなぁ。

<<次回に続く>>

角 勝

株式会社フィラメント代表取締役CEO。

関西学院大学卒業後、1995年、大阪市に入庁。2012年から大阪市の共創スペース「大阪イノベーションハブ」の設立準備と企画運営を担当し、その発展に尽力。2015年、独立しフィラメントを設立。以降、新規事業開発支援のスペシャリストとして、主に大企業に対し事業アイデア創発から事業化まで幅広くサポートしている。様々な産業を横断する幅広い知見と人脈を武器に、オープンイノベーションを実践、追求している。自社では以前よりリモートワークを積極活用し、設備面だけでなく心理面も重視した働き方を推進中。

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