新型コロナ感染拡大を受け、注目の高まる「密回避」について、パナソニック ライフソリューションズ社は9月17日、屋内位置情報システム(ローカルポジショニング システム:LPS)や各種データを活用したアラート、混雑の可視化などができる「密回避ソリューション」を紹介した。パナソニックでは、8月に「非接触ソリューション」を提案しており、今回が第2弾となる。
新型コロナウイルスの集団発生防止のため、首相官邸ウェブサイトからも発信されている「密閉」「密集」「密接」の3密を避ける動き。パナソニックでは「中でも密回避の有効性が高いとされる密集に注力する」(パナソニック ライフソリューションズ社マーケティング本部エンジニアリング事業統括部テクニカルセンター課長の豊澄幸太郎氏)とし、混雑状況の把握、ロボットを活用した人員の削減、照明を使った密回避への誘導などをするシステムを提案しているという。
豊澄氏は「コロナ禍のような非常時だけではなく、通常時でも使えるソリューションを紹介することがコンセプト。新型コロナ感染拡大の影響で、売上が下がっている企業なども多い中、このためだけに資金を投入するのは厳しい会社が多い。通常時でも使えることが重要」と位置づける。
密回避ソリューションの核に据えるのは、屋内位置情報システムだ。屋外では、スマートフォンのGPSなどを使って居場所の特定ができるが、建物内に入ってしまうと、何階のどのフロアにいるのかという特定はできない。屋内位置情報システムは、ビーコンを持った個人の位置データの取得が可能になるため、位置情報データを使ったアプリと連動し、人の密集度合いを位置情報から監視し、警告したり、感染発生時は個人ごとの正確な位置履歴で対応したりといったことが可能になる。
豊澄氏は「屋内でも誰がどこにいるのかが把握できるため、どのエリアに何人いるかもわかるようになる。こうした情報を事前に確認することで密集エリアを避ける行動につなげられる。食堂が空いているといったことがわかるため、通常時でも使える」と、通常時でも役立つことを強調する。
屋内用監視カメラ「i-PRO EXTREME」などと連携すれば、人物の「動き・動線」「滞留・滞在時間」も可視化でき、人などの通過量や一定時間とどまった状態を把握することも可能だ。「位置情報システムとは違い、不特定多数を把握できる。エレベーターホールや社員と来客の両方がいる場所などの混雑を把握するのにカメラは最適。ヒートマップを出して事前に情報を発信することで、人が混雑する場所に行くことを防げる」(豊澄氏)と、場所ごとに最適な形での密回避方法を打ち出す。
非接触ソリューションでも紹介した、統合型セキュリティシステム「eX-SG」は、密回避ソリューションとしても活用する。入室・退室情報の履歴によるトレース管理が可能なため、感染者が出たときの濃厚接触者のトレースに有効とする。
こうしたシステムに加えて、ライト型プロジェクター「SpacePlayer」、オフィスビル清掃向けロボット掃除機「RULO Pro」も密回避ソリューションとして活用する。
SpacePlayerは、配線ダクトに設置できるプロジェクターで、商業施設などで利用されている。床や壁に投映できるため、「マスク着用」「対面を避けて」といった注意喚起に使うほか、ソーシャルディスタンス確保のための並ぶ際の目安位置を表示するなど、新しい空間表現で注意を促す。
家庭用ロボット掃除機「RULO」をオフィス、施設用に改造したRULO Proはレーザー、赤外線、超音波、バンパーと4つのセンサーと独自の自律走行制御を搭載。壁際まで接近し、効率的に床面清掃ができることが特徴だ。清掃員数を低減し、密閉、密集、密接を回避する。
OHサポート 代表で産業医の今井鉄平氏は、「オフィスの密回避はしていても、打ち合わせスペースなど自席以外で密が生じてしまう懸念がある」と指摘した。意外な落とし穴として、更衣室や休憩室、食堂、喫煙室などを挙げ、分散利用やできる限りのマスクの着用などを訴え、濃厚接触者をトレースする仕組みの重要性も説明した。
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