Googleは、自社のソフトウェアを人々の日常的な金銭のやりとりの中核にしようとしている。同社は米国時間11月18日、スマートフォンで決済できるサービス「Google Pay」を刷新し、オンラインバンキングやショッピング、ポイントプログラム関連の機能を強化すると発表した。
Googleは複数の金融機関と提携して、「Plex」と呼ばれる「新しいモバイルファーストの銀行口座」を創設し、Google Payアプリを通じてこれを管理できるようにする。2021年から、Citi、BBVA、Stanford Federal Credit Unionなどの金融機関が、Plexアカウントを提供する。Plexでは毎月の口座管理手数料やオーバードラフト(当座貸越、残高を超えて振り出した小切手などの資金を金融機関が立て替えるサービス)手数料は無料に設定されている。
より優れたユーザー体験を約束することで、ユーザーを自社のソフトウェアに惹きつけるのが、Googleの狙いだ。そのため、自社の人工知能(AI)を活用して購入履歴の検索を容易にするという。また、アプリから支出に関するレポートなどの分析情報を提供して家計管理を支援する。これらの技術はGoogleが提供するが、資金のやりとりは銀行の取り扱いになるとしている。
今回の発表は、Appleやサムスンといった最大手のテクノロジー企業が金融サービスに力を入れている現状を改めて浮き彫りにするものだ。ただしこの取り組みは、シリコンバレーがここ数年直面している信頼性の問題によって、困難にぶつかる恐れもある。一般市民や議員、そしてメディアが、テクノロジー業界によるプライバシー管理やデータ収集をめぐる慣行にますます厳しい視線を向けているからだ。
Googleはまた、このアプリがVenmoなど他の決済サービスの対抗馬になることを期待している。新しいGoogle Payアプリでは、グループを作成して食事代や家賃などを割り勘できる。また、全米の400以上の都市でパーキングメーターの料金を支払えるほか、一部地域ではガソリンスタンドでガソリンを購入できる。さらに、Burger Kingやアウトドア用品店のREIなどの企業が提供するポイントプログラムや割引サービスを一括管理できるという。
Googleの取り組みは、テクノロジー企業が決済サービスの分野に積極的に進出する最新の事例だ。2019年には、Appleが自社ブランドのクレジットカード「Apple Card」を発表した。さらに2020年5月には、サムスンが「Galaxy」シリーズのデバイスに搭載している決済サービス「Samsung Pay」の一環として、デビットカードを提供することを明らかにしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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