本田圭佑氏、ネスレ日本元代表取締役社⻑の高岡浩三氏、FiNC Technologies創業者の溝口勇児氏が代表パートナーをつとめるファンド「WEIN挑戦者FUND」を傘下にもつ「WEIN Group」は11月11日、2つの新会社を設立したと発表した。
ブラジルからオンライン登壇した本田氏は同時に、シードステージに特化した新たな投資枠「KSK Angel by WEIN挑戦者FUND」の募集開始も発表。また、千葉道場やDRONE FUNDで知られる投資家の千葉功太郎氏やサイバーエージェントキャピタルの近藤裕文氏も出資を発表し、今後は「WEIN Group」として起業家や挑戦者を支援し、21世紀の課題解決に挑み続けることを宣言した。
WEIN(ウェイン)とは、「Well-Being(ウェルビーイング)」と、人とのつながりの数と質を示す「Ling(リンク)」を掛け合わせた造語で、「WEIN挑戦者FUND」は21世紀の課題解決をミッションとして、溝口氏、本田氏、高岡氏が共同で5月に設立したファンドだ。「孤独、退屈、不安」を21世紀の課題と定義し、夢や志を社会に向ける挑戦者を支援すること、また自らもこの課題に挑戦していくことを標榜している。人々そして地球を、心身ともに健康でかつ社会的にも満たされた「Well-Being」な状態にすることを目指すという。
今回、WEIN挑戦者FUNDを傘下に持つWEIN Groupは、スタートアップの人的資源やファイナンスの支援強化を目的として、2つの会社を設立したことを発表した。人的資源獲得や教育という“仲間集め”をサポートする「WEIN Incubation Group」と、多角的・複合的な資金調達を支援するコングロマリット型金融機関である「WEIN Financial Group」だ。
溝口氏は「今日11月11日は、日本の経済成長や社会貢献事業に尽くし『日本近代資本主義の父』といわれる渋沢栄一さんの命日。私たちも令和の渋沢を目指して、未来のインフラとなる会社を数千、数万と生み出していきたい」と挨拶した。
そして、かつて貧困家庭で育ち、高校卒業後はパーソナルトレーナーとして働いたこと、自身の顧客である豊かな方たちだけではなく世界中の人々に健康を届けたいと考えて起業したこと、当初の想いとは裏腹に「仲間づくりやお金づくりに、ほとんどの時間を費やした」経営者としての葛藤などを打ち明けて、挑戦者の「仲間」と「お金」を集める支援を強化したいと話した。
WEIN Incubation Groupは、“日本が一つとなり世界と戦う”ために人生を賭けた坂本龍馬が脱藩したという3月24日に設立。すでに、PR・マーケティングや経理、財務、人事・採用など各領域の専門家が参画しており、そのうち10名は経営経験を有するという。溝口氏は、「1つの事業を立ち上げてグロースさせるには、さまざまな変数が絡み合っており、その難易度も上がっている。経験の乏しい起業家と各領域のプロをマッチングさせるエコシステムが必要」だと述べた。
WEIN Financial Groupは、渋沢栄一氏が20世紀の挑戦者にお金が回る社会の実現に貢献すべく日本初の銀行を設立した7月20日に設立。起業家とエンジェル投資家をつなぐAngel Port、株式投資型クラウドファウンディングのAngel Funding(旧ユニバーサルバンク)、飲食店の資金調達プラットフォームfootechの3社を買収したことを明らかにし、「挑戦者にお金が流れる仕組みを作りたい」と溝口氏は語った。
2社はWEIN挑戦者FUNDおよび外部からの資金調達を完了しているという。WEIN Incubation Group代表取締役には、東証一部上場企業の社長・会長としてM&Aや経営再建の実績豊富な西本博嗣氏が、WEIN Financial Group代表取締役には、ベンチャーキャピタリストとしてグローバルで150社以上に投資してきた岡本彰彦氏と、Blockchain Technologiesを創業・イグジットした経験を持つ武内洸太氏が共同で就任した。
当日は同時に、シードステージに特化した新たな投資枠「KSK Angel by WEIN挑戦者FUND」の募集が始まったことを、ブラジルからオンライン登壇した本田圭佑氏が公表した。本田氏は自身を、夢を持って熱く頑張っている人を見ると応援したくなるという“中毒者”だと評しつつも、「個人投資とは異なり投資家からお金を預かるので」と慎重な姿勢を示し、投資条件についてこう述べた。
「発想がぶっ飛んでいてクレイジー、でもやるべきことをコツコツとやれる絶妙なバランスを持つ方に会いたい。個人的には、ハードでもソフトでも“ものづくりがとにかく好き”で、起業や経営には全然興味がないという方がいたらコンタクトしてほしい」(本田氏)。
出資を発表した共創パートナーの千葉氏は、自己紹介として「ドローン・エアモビリティ前提社会の実現を目指して自らも有人機パイロットの資格を取得した“挑戦者”である」と話し、「千葉道場で培ったノウハウやつながりを生かして、WEINと共に日本のスタートアップシーンを盛り上げたい」と挨拶した。
また近藤氏も、サイバーエージェント・キャピタルではグローバルで300社へ投資して5社はユニコーンに成長した実績があると言及し、「日本は、スタートアップエコシステムそのものが弱い。これを一緒に作っていきたい」と意欲を示した。
WEIN挑戦者FUND共同代表である高岡氏はビデオメッセージを寄せて、「2つ新会社設立によって、人・物・金の支援のみならず経営アドバイスをできる体制が整った。イノベーションを育むエコシステムを構築していきたい」と話した。投資と経営の第一線で活躍するメンバーが揃ったWEIN Groupの強みは“目利き力”。多様な投資家、専門家、スタートアップをいかにマッチングさせ事業をグロースさせていくか、その挑戦は始まったばかりだ。
最後に溝口氏は、「自らが挑戦する人だけではなく、支援などで挑戦に関わる人を増やすことも、孤独・退屈・不安をなくす重要な要素」だと説明。「人が抱える悩みは、お金、繋がり、健康という3つに分けられるが、お金と健康は不幸せとの相関性が高い一方で幸せとの相関性は低い。幸せを感じるためには、人との繋がりが必要だ」と語り、WEIN Groupでは4つのクローズドコミュニティを発足しメンバーを募集していると告知し、挑戦への参加を広く呼び掛けた。
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