Netflixのドキュメンタリー映画「監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影」(原題:The Social Dilemma)は、ソーシャルメディアがわれわれの暮らしや精神的健康に及ぼす影響について議論を巻き起こした。Facebookは米国時間10月2日、公式サイトに「What 'The Social Dilemma' Gets Wrong」(「監視資本主義」のどこが間違っているのか)というタイトルの記事を公開し、その中でこの映画について「本質が扇情主義に埋もれてしまっている」と述べた。
Facebookはこの作品について、言及されている企業の現役の従業員や、別の見方をする人々の知見が取り上げられていないとして批判している。
「(この作品は)テクノロジーについて繊細な見方をするのではなく、困難で複雑な社会問題に対してソーシャルメディアプラットフォームがいかに都合のいいスケープゴートを生み出そうとしているかという、歪んだ見方を示している」「また、同作品が提起している問題の多くに対処するために企業がすでに講じている措置を、批判的であれ好意的であれ伝えていない。代わりに、何年も前に内部から去った人々の見解に依拠している」(Facebook)
Facebookはさらに、この映画について「間違っている」と考えられる点をリストアップしている。中毒性の問題については、「われわれのニュースフィード製品チームは、当社の製品の利用時間を増やす機能の開発を奨励されているわけではない。それよりも、利用を促すだけでなく、人々に確実に価値をもたらしたいと考えている」と述べた。
Facebookは、話題の動画などではなく、「意味のあるソーシャルな交流」を優先するようにニュースフィードの表示順位を変更した2018年の例を挙げている。同社はこの措置により、Facebookの利用時間が1日あたり5000万時間減少したとして、「自社のサービスをもっと使ってもらおうとするだけなら、このような措置は取らない」と述べた。
ユーザーを製品だとする考え方にも反論し、「Facebookは広告で収益を得ることにより、人々が無料で使い続けられるようにしている」と指摘した。また、アルゴリズムの利用についても自らの立場を弁護し、Facebookの技術によって「プラットフォームの関連性と利便性が保たれている」と述べた。さらに、Netflixを含め、アルゴリズムを利用している他社のプラットフォームを挙げて、「アルゴリズムを『狂気』として描けば、陰謀説を唱えるドキュメンタリーには格好のネタになるかもしれないが、現実ははるかに面白みに欠ける」と指摘した。
Facebookが反論しているその他の問題には、データの取り扱いに加えて、分極化や誤情報の拡散を促す役割を担っているとされる問題などがある。
Netflixはコメントの依頼にすぐには応じなかった。
テクノロジーや精神衛生をめぐる議論を契機に、多くの大手IT企業はテクノロジー中毒を抑制する取り組みを進めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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