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不動産クラウドファンディング最新事情--先行する米国の現状と日本で生き残る方法とは

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 朝日インタラクティブは9月16日、「CNET Japan Conference 不動産テック オンラインカンファレンス2020」第3回を開催した。本稿では、同日2つ目のセッション「トレンドは変化した--不動産クラウドファンディング最新事情」をレポートする。

 登壇したのは、TMI総合法律事務所 パートナー弁護士の成本治男氏、ユニコーン 代表取締役最高執行責任者の一村明博氏。モデレーターは、リーウェイズ 代表取締役CEOで不動産テック協会代表理事の巻口成憲氏が務めた。

「トレンドは変化した--不動産クラウドファンディング最新事情」
「トレンドは変化した--不動産クラウドファンディング最新事情」

 当日は、不動産テック協会とスピーカー3名の紹介に続き、不動産クラウドファンディングの“本家本丸”ともいえるアメリカ市場最新動向を、巻口氏が解説した。そのうえで、日本における不動産クラウドファンディングの最近の傾向や今後の展望や課題について、パネルディスカッションが行われた。

 一般社団法人 不動産テック協会は、テクノロジーによるビジネス改革が加速する不動産事業者の支援を目的として、2018年9月に設立された。情報流通、電子化、業界マップ、物件流動、不動産金融、海外連携の6つの部会を中心に活動している。2020年7月にはGeoloniaと共同で、国内の土地や建物等の不動産情報に対する共通の「不動産ID」付与に向けた取り組みを開始したと発表して注目を集めている。

不動産テック協会とは
不動産テック協会とは

 最初に自己紹介を行ったリーウェイズの巻口氏は、「リーウェイズは、独自に集めた2億件を超える不動産のビッグデータを人工知能の活用によって分析し、不動産の将来的な収益還元価値を予測する「Gate.」というサービスを手がけています。現在、Gate.は150社以上の企業に利用いただいています」と挨拶した。

モデレーターのリーウェイズ 代表取締役CEOで不動産テック協会代表理事の巻口成憲氏が
モデレーターのリーウェイズ 代表取締役CEOで不動産テック協会代表理事の巻口成憲氏が
リーウェイズは不動産の将来的な収益還元価値を予測する「Gate.」を提供している
リーウェイズは不動産の将来的な収益還元価値を予測する「Gate.」を提供している

 クラウドファンディングの中でも株式投資型のプラットフォームを手がけるユニコーンの一村氏は、20年近く金融機関に勤め、主に証券会社に在籍してインターネット証券にいち早く関わったのち、フィンテックベンチャーにも参画した経歴を持つ“金融のプロ”だ。一村氏は、「金融×ITのフィンテック領域から、不動産×ITの不動産テック領域へと事業を広げる過程で、不動産テック協会の理事もつとめています」と自己紹介した。

 TMI総合法律事務所 パートナー弁護士の成本氏は、不動産と金融という2つの専門領域を軸に活動してきたという。もともと不動産の証券化や流動化の案件に数多く携わってきた知見を生かして、不動産テック協会ではアドバイザーをつとめる。成本氏は、「不動産クラウドファンディングは、新たな商品やサービスが出てきており、非常に面白い分野です」と挨拶した。

アメリカ市場で勝敗を分けたのは「テクノロジーの活用」

 巻口氏はまず、アメリカの不動産クラウドファンディングの概況を解説した。アメリカでは2015年頃すでに、債務や株式などさまざまなプレーヤーがでてきて、それぞれが業績をしっかり伸ばしていたという。そのあとも市場規模は右肩上がりに拡大中。2027年までには9.1兆円のマーケットに成長するとの予測だ。

 「急成長の背景には、不動産をベースとした資産形成に対する高い関心や人気があります。株式マーケットの年間平均成長率は約5.5%ですが、不動産投資では約8.7%と非常に魅力的であることも一因です」(巻口氏)とコメント。

 アメリカにおける不動産投資マーケット勃興のきっかけは、2012年にオバマ前政権で成立したJOBS法(Jumpstart Out Business Startups Act)だ。リーマンショック後の中小企業やスタートアップの資金調達促進を目的としたJOBS ACTは、2016年に第3編(TitleⅢ)が施行され、適格投資家以外の一般投資家(Non-accredited investors)もクラウドファンディングへ出資することが可能になったのだ。その結果、一般投資家向けに商品やサービスを提供する企業が増え、マーケットは急成長しているという。

 巻口氏は、アクティブメンバー13万人、年平均リターンは8.7〜12.4%と非常に利回りがよいFUNDRISEや、登録ユーザー19万人、平均リターンは4.5〜7.7%とやや見劣りするも、現時点でキャッシュを生んでいる案件しか扱わない高い安定性が人気のREALTY MOGULなど、アメリカの不動産クラウドファンディングにはさまざまなプレーヤーがいることを紹介した。

 「アメリカでは、全方位的なFUNDRISEだけではなく、農地や学生寮だけを扱うなど、自社の特徴を際立たせてリターンをしっかりと確保しながらファンドを急成長させている企業も目立ちます。一方で、Realty Sharesのように、シリーズCで9回もラウンドしながら破綻してしまった企業もあります」(巻口氏)と現状を説明した。

米国で不動産クラウドファンディングサービスを提供する「FUNDRISE」
米国で不動産クラウドファンディングサービスを提供する「FUNDRISE」
「REALTY MOGUL」はキャッシュを生んでいる案件しか扱わない高い安定性が人気
「REALTY MOGUL」はキャッシュを生んでいる案件しか扱わない高い安定性が人気

 巻口氏は、この分け目となるのがテクノロジーであると指摘。「Realty Sharesは、ビジネスモデルが労働集約的でした。収益性の低さを嫌気されてベンチャーキャピタルからの資金調達に失敗し、それに伴って事業も破綻してしまったのです。他方、FUNDRISEのダッシュボードにはグラフィカルで分かりやすいツールがそろっていて、投資家からのウケもよい。不動産クラウドファンディングにおいては、テクノロジーの活用が肝になります」と説明した。

 アメリカ市場の今後の展望として挙げられたのは、ブロックチェーン技術の活用による不動産のトークン化だ。巻口氏は、「小口化することで、不動産投資家は新しいオプションを選択できるようになり、アセット・アロケーションに新たな戦略を持ち込めるし、さまざまなオプションが増えれば、不動産の付加価値も高まっていきます。これが『リアルエステートクラウドファンディング2.0』と呼ばれる潮流です」と解説。日本でもSTO(Security Token Offering)が注目されつつあると指摘して、パネルディスカッションに移った

米国における不動産クラウドファンディングサービス提供企業一覧
米国における不動産クラウドファンディングサービス提供企業一覧

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