テクノロジー企業各社は決算を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大期にあたる4月から6月に、中でもAmazonとAppleはそれぞれ、オンラインコマースとクラウド、リモートワークやオンライン授業といった生活様式への対応で売上を爆発的に伸ばす結果となった。
好決算は喜ばしいことではあるが、少しタイミングの悪さもあった。というのも、Google、Amazon、Facebook、AppleのCEOが、米国議会の公聴会に呼ばれていたタイミングだからだ。
米国議会の反トラスト法に関する小委員会は、今回の公聴会を前にして、追求は社内メールやデジタルコンテンツの盗用問題、略奪的と批判される商慣習、敵対的買収や模倣によって進歩してきたシリコンバレーの文化などに及んでいた。
大きな流れを見れば、今回の公聴会は、米国の政治の中枢によるシリコンバレーをはじめとしたテクノロジービジネスに対する理解を深めることになる。
FacebookやGoogleのトップに対するこれまでの公聴会を見ても、仕組みやビジネス、文化に対する理解度が足りず、本質的な議論と言うよりは一方的なイメージを押しつけようとして失敗してきたと評価すべきだからだ。
今回の公聴会で、FacebookによるInstagram買収までの経緯についてもやりとりがあった。多くの人々がInstagramをSNSだと認識していなかったころ、社内メールでマーク・ザッカーバーグ氏は「破壊的な影響を及ぼす可能性がある」と指摘していた。
こうした点について競争を阻害しているとの指摘があったが、シリコンバレーをよく知る人からすれば、日常茶飯事に聞こえるし、ザッカーバーグ氏も指摘に対して「ジョークのようだ」と答えている。
実際、Facebookは競合として脅威になりそうだと勘づいてInstagramやPathといったモバイルと写真をテーマとしたアプリの買収に成功しているが、Snapchatの買収には至らなかったことから、必ずしもGAFA企業の圧力が絶対ではないことを物語っている。
今回の件についてAppleは、他の企業に比べると最小限の質問に留まっているが、App Storeがテーマとなった。
EUでは勝訴しているが、米国でもApp Storeがアプリ開発者の競争を阻害しているとの指摘で調査が進んでおり、追求はこの点に及んでいるほか、iOSにその機能を搭載したことでサードパーティーのペアレンタルコントロールアプリを削除した点も指摘された。
ティム・クックCEOは、引き続き、アプリ開発者を平等に扱い、オープンで透明性あるルールを運用している点を主張した。同時に、大規模な開発者を優遇している点を否定している。
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新型コロナウイルスの世界的な流行で、米国をはじめとする直営店「Apple Store」の閉鎖などに追い込まれたほか、人々が巣ごもり生活を余儀なくされたことから、ティム・クックCEOは「購買行動の変化」を観測している。
そうした中で、iPhone、Mac、iPad、ウェアラブル・ホーム・アクセサリ、サービスの全部門で売上高が上昇する好決算を叩きだした。特にリモートワークやオンライン授業などの需要の急増から、Mac、iPadはそれぞれ21.6%増、31.0%増と、6月期として最高の売上高を記録した。
その一方で、外出しないことからモバイルやウェアラブルの需要は低迷気味となった。それでもiPhone SE発売によって、iPhoneも前年同期比1.7%増、ウェアラブルも成長速度を幾分落としているが、それでも潜在的な需要は高く、売上高は16.7%となった。
今回の決算発表で重要となるアナウンスは、iPhoneの遅れだ。通常、9月第2週に発表、第3週に発売というスケジュールが予定されているが、これが数週間遅れるという。製造の問題というよりは、ロックダウンの影響による検査の遅れが響いたのではないだろうか。
すでにiPhone SEは、3月発売から4月発売へと延期されているが、前年同期を維持する形で推移した。スケジュールからすると、新型iPhoneは2020年第4四半期決算の売上高には計上されないことになり、数字の上での影響が出るかもしれない。
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