ここ数カ月、ノートの使い方に関する本が数多く出版されていた。個人的にノート術や文房具に関する本が大好きな筆者は、わくわくしながらそれらの本を読み、紹介してきた。今回は、まとめて5冊を改めて紹介したい。ビジネスパーソンが、ミーティングの内容をメモしたりアイデアを書き出したりするのに使えるノート術から、勉強内容をまとめるためのノート術まで、さまざまなやり方があり、それぞれに利点がある。これだけあれば、好みの使い方が見つかるのではないだろうか。
手のひらサイズの小さいノートを見ると、「いくらなんでも小さすぎるのではないか」と思う。しかし、いざ使い始めてみると、「これぐらいがちょうど良い」となるから不思議だ。むしろ、普通サイズのノートを見ると、広大な海のように感じられて、どこに書けばいいのか一瞬迷ってしまうほどだ。本書には、「小さいノート」の魅力と利点が、余す所なく詰め込まれているが、まずは、取り組みやすい「やることリスト」や「買い物リスト」を書き込むところから始まる。そこらへんの紙っ切れに書くようなことも、小さいノートに書いておけば、記録として残せるのが良い。
こちらは、著者個人の個性的なノートの作成術について書かれている。ノートは、「学ぶノート」「伝えるノート」「生み出すノート」と大きく3種類に分けられ、目的に合わせて効果的なノートの作り方がある。自分に向けて書くのか、ほかの人に向けて書くのかによって、意識するべきポイントも異なる。本書の前半では、ノートを作る時に欠かせない要素や、基本的なノートの使い方が丁寧に説明されており、初めてこのようなノート作成に取り組むときに、どこから意識して始めれば良いかが分かりやすい。
後半には、ノートの実例が多数掲載されている。教科書で学んだことをまとめたノートや、留学時代にフランス語を覚えるために書いたノート、企画のためのノート、ワークショップのレジュメ用のノートなど、さまざまなシチュエーションで書かれたノートが、「自分もノートに書きたい」という創作意欲のようなものを掻き立ててくれる。
創作意欲といえば、子供の情熱や勢いには圧倒される。本書には、小学生の自学ノートの実例と、自学ノートを作るときに保護者や指導する人が留意すべき点などがまとめられている。小学生の発想力はすごい。見開き2ページというノートの枠組みを超えて、四方八方まで使って立体的に仕上げていたり、隙間もないほど書き込みしていたり、バランスなどという凝り固まった概念をぶち破り、多色で塗りつぶしていたり。大人の自分は、眺めるだけで、自分の頭がいかに堅いかを実感させられてしまう。
「見せるだけ」で子供のノートが激変する、とある。いったん刺激を受ければ、子どもたちは指図などしなくても、自分たちでどんどん楽しい自学ノートを作っていってしまうのだろう。子供も大人も一緒になって、ノートを好きなもので埋めつくしてみるのも楽しそうだ。
好きなものの一つに「旅」を挙げる人も多いだろう。2020年は感染症拡大のために、海外旅行はおろか国内旅行もままならなくなってしまったが、少しずつ旅を再開している人もいるであろうし、徒歩による近場のお散歩スポットめぐりならやっているという人もいるのではないか。2021年以降に旅が再開できることを願っての計画でも良いし、これまでにした旅行で、まだきちんと記録をまとめていないものもあるはずだ。
そうした旅のあれこれを1冊のノートにまとめる「トラベルノート」を作るためのワザが詰まっているのが本書だ。見やすく整理された旅程や思い出と、写真やスタンプ、マスキングテープなどを駆使して、美しく、時には可愛らしくまとめたノートは、読み返すのも楽しい。特に記憶に残っている旅行で、トラベルノートを作り始めるのがいいかもしれない。
紙のノートを使うばかりがノート術ではない。最後に紹介するのは、iPadのノートアプリを使ったノート術の本だ。本書で紹介されているアプリの中では、「GoodNotes」と「コンセプト」を、個人的にもよく利用している。どちらも、まっさらなノートを作成する時のほか、PDFに書き込みをするのに便利だからだ。
本書では、GoodNotes、コンセプトのほか、「Noteshelf 2」、「Notability」、「スクラップノート」、「Metamoji Note 2」など、手書きノートアプリのほとんどが網羅されている。最近のApp Storeはとても検索しづらく、自分の欲しいアプリがどれなのか、見つけることがかなり難しいと感じるが、本書のように「ノートアプリ」にテーマを絞って紹介してくれていると、比較検討しやすくて助かる。
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