Twitterのサービスが米国時間7月15日に混乱に陥った際、最高経営責任者(CEO)のJack Dorsey氏は、しばらく沈黙を保っていた。ハッカーは米国の著名人のアカウントを楽々と乗っ取り、あからさまな仮想通貨詐欺のツイートを投稿した。その際、批評家、コメンテーター、ジャーナリストがDorsey氏に何らかの対応を求めた。乗っ取りにあったのは、Elon Musk氏やBarack Obama前大統領、Joe Biden氏などで、AppleやUberといった大手企業のアカウントからも同様のメッセージがツイートされた。
Twitterは最終的に、認証済みアカウントを一時的に停止するなどして事態を収拾した。Dorsey氏の最初のコメントは、攻撃開始から4時間後に発信された。自身が作ったサービスで情報がものすごい速さで消費されていることを考えると、残念なギャップだ。
Dorsey氏は「Twitterにとって大変な1日だった。私たちはこのような事態が起こったことを大変申し訳なく思っている」とツイートし、調査の結果が出たら共有すると約束した。
Tough day for us at Twitter. We all feel terrible this happened.
— jack (@jack) July 16, 2020
We’re diagnosing and will share everything we can when we have a more complete understanding of exactly what happened.
♡ to our teammates working hard to make this right.
自分の会社にとって歴史上最悪と言える日を迎えるのは、もちろん願い下げだが、シリコンバレーでもカルト的な個性を生み出したDorsey氏にとって、Twitterの今回の不格好な対応は、とりわけ難しい局面での出来事となってしまった。公共の議論を形成するというTwitterの役割と、Dorsey氏の経営手腕の、両方に疑問が呈されているだからだ。
米国の大統領選が近づいている現在、ソーシャルメディアプラットフォームの健全性とセキュリティは既に大きな注目を集めている。Dorsey氏が政治的な色を押し出したことで、Twitterはこれまで以上に厳しい目を向けられることになった。Donald Trump大統領のツイートに対して強硬な姿勢をとり、誤解を招きそうな情報と暴力の誘発を理由に一部のツイートについて警告を発したのだ。この動きでTwitterはFacebookと一線を画すことになった。FacebookはTrump大統領の投稿を放置していたからだ(その後、Facebookはポリシーを再考している)。この一件でDorsey氏は、革新派からは英雄扱いされ、保守派からは悪者扱いされることになった。
Twitter社内で、Dorsey氏はにわかに起こった権力争いに直面している。かなりの額をTwitterに出資している物言う株主、Elliott Managementが、2020年に入ってから、Dorsey氏に対して、Twitterに専念するか、そうでなければ社を去るよう要求したのである。この要求には、Dorsey氏がCEOを辞任する、もしくはSquareで同じ地位を放棄することも含まれていた。Squareは、同氏が創業に加わった決済企業だ。3月、Elliott ManagementはDorsey氏を排斥しようとする動きを止めたが、依然として役員会では発言権を有しており、好機をうかがっていると言われている。
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