パナソニック、当たり前を変える取り組み--コロナ禍で響く「困難こそ発展の好機」

 パナソニックは、同社の研究開発戦略について説明。パナソニック 専務執行役員CTO兼CMOの宮部義幸氏は、「パナソニックは、モビリティ、ホーム、ビジネスの各市場に向き合った事業を行っており、そこにおいて、くらしと世界をアップデートすることを技術ビジョンに掲げている」と研究開発戦略の基本姿勢を改めて強調。その上で、「新型コロナウイルスの感染拡大によって、家庭においては、家事や娯楽、あるいは快適に過ごすといったこれまでの要素に加えて、仕事をしたり、教育を受けたり、在宅医療を受けるといったことが増えてくる。パナソニックのお役立ちも変わってくることになるだろう。在宅や非接触といったところでどんなお役立ちができるのか、テクノロジーのアウトプットができるのかといったことを考えていきたい」などと述べた。

パナソニック 専務執行役員CTO兼CMOの宮部義幸氏
パナソニック 専務執行役員CTO兼CMOの宮部義幸氏

松下幸之助氏の1958年の発言「困難こそ発展の好機」が今響く理由

 さらに、「従来からの強い差別化技術を⽣み出す⼒だけでなく、ビジネスモデルを変⾰して、Society 5.0に向けて新事業を創る⼒、さまざまな能力を持った組織が柔軟にチームを作って動き出せるクロスバリューイノベーションの⼒という3つの力を融合することがパナソニックの強みになる」と述べた。

 パナソニックの宮部専務は、同社の研究開発戦略に関して、報道関係者を対象に定期的に説明を行う場を設けており、今回は、オンラインで実施した。

 宮部専務は、説明のなかで、パナソニックの創業者である松下幸之助氏が、1958年1月の経営方針発表で発した「困難こそ発展の好機」という言葉を引用。「松下電器(現パナソニック)は、過去においては、困難に直⾯したときに必ず何ものかを⽣み出してきている。この考えに⽴てば、かつてない難局であれば、それは同時にかつてない発展の基礎になると感じることができる。これを、基本的な考えにしてほしい」と述べたことを紹介した。

 「新型コロナウイルスという困難に直面している今は、この一言一句そのまま語ることができる。パナソニックでは、従来から「eワーク」(在宅勤務)に取り組んできたが、この数カ月で一気に定着した。研究開発部門でも、出社率が10%に留まっているところがある。困難があったからこそ、自分たちが変革できた。当たり前だったものを変えるチャンスである」などと語った。

松下幸之助氏の言葉
松下幸之助氏の言葉

 バナソニックでは、新たな生活様式に向けて、AI処理が可能なカメラデバイス「Vieureka(ビューレカ)」により、店舗内の混雑度や⼈の流れをモニタリングしたり、介護施設向けの業務⽀援サービス「ライフレンズ」に利用したりといった事例のほか、名古屋大学と共同研究している、AIを活⽤して、歩⾏機能を維持および向上するための「歩⾏訓練ロボット」、地元ケアマネ協会や医師会などと連携した「デジタル・ケアマネジメント」の提供などに取り組んでおり、これらの事例を紹介。

 さらに、新たな生活様式を支える基盤として、サービス情報基盤の「パナソニックデジタルプラットフォーム」、既存配線を情報通信インフラとして活用する「IoT PLC(HD-PLC)」、コネクティッドカーやスマート工場、スマートビル、スマートホームを支える「IoTサイバーセキュリティシステム」などについて触れ、「新型コロナウイルスによって、テクノロジーは同じでも、アウトプットを変えることで、新たなお役立ちができると考えている。とくに、在宅や非接触という観点から変えていきたい」などと述べた。

新たな生活様式への貢献に向けて
新たな生活様式への貢献に向けて

 その一方で、「研究開発活動を止めないように取り組んできた。基本的には在宅勤務で行っているが、実験や試作は出社する必要があり、部署によっては、緊急事態宣言以降も、出社率が40%になった例もあった。ここでは、密にならないように、工夫を加えている」としながら、「社員に聞くと、在宅勤務でできなかったものはないという声があがっているが、コミュニケーションの限界があるのも確かで、長期的にみると、今後、なにか問題が起きる可能性もある。それにいち早く気がついて修正する必要がある」とも述べた。

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