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「渋谷区のニューノーマル」をともに創る--長谷部区長がスタートアップに期待すること

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2020年07月20日 08時00分
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 「ニューノーマルを、渋谷から発信。」ーーニューノーマル時代の課題を解決するイノベーションを募集する新事業「Innovation for New Normal from Shibuya」を、渋谷区は6月25日に開始した。

「Innovation for New Normal from Shibuya」
「Innovation for New Normal from Shibuya」

 この事業は「緊急事態宣言解除後に迎えたニューノーマルでの社会的な課題を解決する新しいテクノロジー、ソリューション」をテーマに、新型コロナウイルスによる社会的課題の対策となるアイデアやサービス、ソリューションを、スタートアップ企業、大学、研究機関などから募るものだ。採択された案件は、速やかに区の担当部署や担当者とつなぎ、迅速な社会実証を目指すという。

 日本のトレンド・カルチャーの発信地として、さらには世界的に注目度の高いITビジネス拠点として、これまでにも他の自治体のロールモデルになるようなプロジェクトを展開してきた渋谷区。最近も区内の公立小学校に1人1台のSurface Go 2を配布してより発展的なデジタル教育を推進したり、有志が渋谷区内の課題を発見して解決を図る「渋谷をつなげる30人」といった取り組みも進めている。

「Innovation for New Normal from Shibuya」の狙いについて長谷部健渋谷区長に話を伺った
渋谷区長である長谷部健氏(右)と、同プロジェクトを担当する田坂克郎氏(左)

 新たに開始した、Innovation for New Normal from Shibuyaで渋谷区は何を狙っているのか。渋谷区長である長谷部健氏と、同プロジェクトを担当する渋谷区 経営企画部副参事 国際戦略推進担当課長の田坂克郎氏に話を聞いた。

ディフェンスばかり考えず、未知の領域にチャレンジする

——まずは今回のプロジェクトを立ち上げた経緯から教えてください。

長谷部氏:もともとスタートアップ企業を支援していくことは公約でも掲げていましたし、政府が進める「世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」における拠点都市選定の動きもありました。その流れからきているところはもちろんあるのですが、スタートアップ支援を区として実施するのには壁もあったんです。

 地方自治体の特別区である東京23区は、それぞれそこに住む人たちの生活を支えることが業務の中心です。そうすると教育や福祉、それから土木系のまちづくり事業がほとんどになるんですね。住民税で運営している組織ですから、居住して事業もしている人たちはその(税金を投入する案件の)対象になるけれど、渋谷区で商売だけをしている人たちは対象になりづらいところが、正直ありました。

 ただ、僕自身この街で生まれて、「渋谷区に住んでるの、いいなあ」と他の人に子どものころから言われて育ってきている。それはカルチャーを発信し続ける街、新しいビジネスにチャレンジしていく街、そういう要素が渋谷区にあったからで、僕自身そこに誇りを持てていたところもあったはずなんですよね。だから僕としては、渋谷区の人たちみんながそういった思いをもてるように、街や企業をできる限り応援していきたい。

長谷部健渋谷区長
渋谷区長の長谷部健氏

 ただ、税金をどんどん投入して運営するには原資がないので、工夫してやっていく必要があるだろうと。そこで、ベンチャーキャピタルや協賛企業・協力企業のご支援をいただきながら、渋谷区がサポートしていくという体制をとりました。

 2019年にスタートアップ支援に関する立ち上げの宣言をした際には、多くの人にアンケートをとったことで、渋谷区でスタートアップを始めるにあたってのいろいろな障害があることもそれなりに分かってきました。事務所を借りることも、会社を興すときの手続きも大変で、日本国籍以外だとさらに起業が難しいとか。それを解決するための活動も続けてきました。

 また、スタートアップを支援していくときに重要なのは「人」というところもありますので、外部から人を集めることもしてきました。本来ならとっくにスタートしていたプロジェクトのはずなんですが、この新型コロナウイルスの状況に重なったために、テーマとしては「ニューノーマル」を軸に据えた形でスタートすることにしたというわけです。

——渋谷区における新型コロナウイルスの影響はどれほどでしょうか。

長谷部氏:もちろん影響は多大なものがありますよ。3月、4月に新規感染者が増えてきたとき、港区や世田谷区の感染者数が多いと騒がれましたが、人口割で言うと渋谷区は港区に次いで多かった。緊急事態宣言下で自粛することで収まってきたものの、再び数字は増えつつある。なので、全然楽観視はできません。

 人が少なくなって、街の雰囲気は本当に大きく変わってしまいました。原宿では廃業したアパレル系のお店を見つけたりするし、観光客を相手にしたビジネスも縮小していて、経済が回らなくなっている様子も見えてきています。エネルギッシュであることが渋谷という街の原動力、プライドみたいなところがありましたけど、そこは大きく陰ってしまったように感じますね。

 
 

——経済への影響だけでなく、街の魅力である「活力」がなくなってしまっていると。

長谷部氏:とはいえ、そういった状況下においても、ディフェンスすることばかり考えているわけにはいきません。感染症というのはコロナウイルス以外にもあるわけで、これで終わる話ではないかもしれません。ウィズコロナ、アフターコロナの文脈から、それと付き合いながら、未知の領域にどうスピード感をもってチャレンジしていくか。スタートアップに限らず大企業でも構いませんが、そういう点で一緒にやっていける企業があるんじゃないかと思い、今回のプロジェクトには期待しています。

——渋谷区として、独自に新型コロナウイルスに対する取り組みも実施してきたかと思います。

長谷部氏:給付金の支給など、地方自治体としてできることはスピード感を持って頑張っていますし、区独自の支援をしていくべきだとも当然感じています。ただし、僕の考え方としては、給付金をばら撒くことについては否定的です。区としては財源にも限度がありますし、ウイルスとの長い戦いを考えたときには非効率的ですから。釣竿を配るか、釣った魚を配るか、ということであれば、渋谷区としては釣竿を配りたいと思っています。

 これからはネット社会にさらにアクセルを踏んでいくことになります。そういう意味でいろいろとできることがある。その一環として、すでに始めているのが、渋谷区独自の新型コロナウイルス感染発生場所の追跡サービスである「新型コロナあんしんチェックインサービス」ですし、エンタメ・ファッション・飲食などの業界を支援する「YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング」です。

「新型コロナあんしんチェックインサービス」
「新型コロナあんしんチェックインサービス」
「YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング」
「YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング」

 また、学校が取り組んでいるオンライン授業や、都の補助をもとに始めたクオカードによる一人親支援、テイクアウト・デリバリー利用の支援なども実施しています。この先、電子マネー、電子決裁に関連する支援も考えています。

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