渋谷区、区立の全小中学校向けに1万2500台の「Surface Go 2」を導入へ

 日本マイクロソフトは5月13日、「GIGAスクール構想」に関するオンライン記者説明会を開催。その中で、渋谷区が小中学校26校の学生向けに1万2500台の「Surface Go 2」を導入することを明らかにした。

 GIGAスクール構想は、文部科学省が推進する義務教育の現場でITを活用する取り組み。2020年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」によって、当初2023年度までの完了を目指していた端末整備計画は、2020年度中に完了できるよう前倒しされた。日本マイクロソフトは構想に賛同し、PCメーカー8社とともに「GIGAスクールパッケージ」を2月4日から提供している。

 GIGAスクール構想では、小中学校といった義務教育段階において、全学年の児童生徒1人1人がデバイスを持ち、十分に活用できる環境の実現を目指してきた。地方公共団体・教育機関に対して、デバイス整備1台につき4万5000円を上限に国が補助金を給付し、文部科学省は「基本パッケージ」(4万5000円の端末補助対象内で必要最低限の機能を含むモデル)と「応用パッケージ」(端末補助対象外だが先行導入地域で実績があるモデル)の2種類を、デバイス整備検討の選択肢として示している。

Surface Go 2は「新しい“文房具”」

 日本マイクロソフトが提供するGIGAスクールパッケージでは、デバイスツールである「Microsoft Intune for Education」「Microsoft 365 Apps/Office 365 A1」を組み合わせた「Microsoft 365 Education GIGA Promo」と「Windows10 Pro Education」、Surfaceを含むGIGAスクール対応PCのWindows 10デバイス、MDM(モバイルデバイス管理)による大規模な端末展開とアカウント管理手法を特別価格で提供すると発表していた。

 さらに、教員研修の無償提供や文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に対応可能なクラウド環境も必要に応じて利用できる。同社は5月12日に発売するSurface Go 2を「子どもたちの能力と可能性を最大限に引き出す新しい“文房具”」(同社Surfaceビジネス本部 本部長 小黒信介氏)と定義付けており、各種特徴をアピールした。

教育機関向けSurface Go 2およびアクセサリーの税抜き参考価格
教育機関向けSurface Go 2およびアクセサリーの税抜き参考価格

 Surface Go 2の重量は約544gだが、日本マイクロソフトは「500ミリペットボトル相当で、ランドセルのサイドポケットに収まる」(小黒氏)と語る。また、Surfaceシリーズは米国本社のReliability Lab(信頼性を検証するラボ)で耐久度テストを重ねており、キックスタンドに遊びを作って、子どもたちが誤って破損しないようにしている。

 キーボードに不慣れな子どもでも直感的に操作できるタッチ対応ディスプレイについても、手のひらをディスプレイに置いても反応させないファームブロック機能や、デジタルペンで手描きした際はわずかに沈む効果などを加えることで、「ノートにペンで描いた際と同じ感覚」(小黒氏)を再現させたという。

Surface Go 2は前モデルのSurface Goと比較して、ベゼルを22%薄くしている
日本マイクロソフト Surfaceビジネス本部 本部長 小黒信介氏が説明。Surface Go 2は前モデルのSurface Goと比較して、ベゼルを22%薄くしている

 GIGAスクール対応PCとしてSurface Go 2を展開するため、日本マイクロソフトは「Microsoftクラスルームペン」をパートナー経由で提供する。従来のSurfaceペンより短く、耐久性を向上させたという。また、ペントップ部分には穴を用意し、紐を通してくくりつければ意図しない紛失も避けられるとのこと。

渋谷区が1万2500台の「Surface Go 2」を導入へ

 教育機関によるSurfaceシリーズの導入は広がりつつある。同日には、渋谷区が区立全小中学校26校の学生向けに1万2500台のSurface Go 2を導入することを明らかにした。同区は2017年9月から1人1台のタブレットを貸与し、IT教育を推進する「渋谷区モデル」を導入しているが、デバイスの更新タイミングを迎え、Surface Go 2 LTEモデル(8GBメモリー/128GBストレージ)を選択した。2020年9月からの順次導入を予定している。

 2013年にSurface RTを導入した立命館小学校も、今回Surface Go 2の導入を予定している。約720名の生徒がいる同校は、「2012年の段階で“1人1台”の時代が来ると判断し、教師全員でデバイス選定を行った。その際はWindowsとMacを比較したものの、『デバイスではなく、子どもたちに何をさせたいのか』『10年後でも最先端であるもの』という観点から、Word/Excel/PowerPointと親和性が高いWindowsを選択した」(同校 ICT教育部長 英語科教諭 Global Teacher Prize 2019 Top10 Finalistの正頭英和氏)と理由を語った。

 過去7年間のうち1年間だけ価格を理由に他社製のWindows PCの導入も試みたが、子どもたちが落として破損するケースが発生し、修理に1〜2カ月を要したという。同校は「Surfaceは1週間ほどで帰ってきたが、他社製PCは数カ月、ひどいときは忘れていたことも。教師の間では『地獄の1年』と呼んでいる」(正頭氏)と振り返った。

立命館小学校 ICT教育部長 英語科教諭 Global Teacher Prize 2019 Top10 Finalist 正頭英和氏
立命館小学校 ICT教育部長 英語科教諭 Global Teacher Prize 2019 Top10 Finalist 正頭英和氏

 立命館小学校も「デバイス=文房具」という捉え方をしており、Surfaceを必要としない授業でも机に出しているという。その理由として、「Surfaceでノートをとる子どももいる。使いたいときに使える環境を実現するには1人1台が必要」(正頭氏)と述べつつ、今後はデジタル教科書への移行を踏まえて「登下校時の荷物は減る。(他社製PCと比較して若干高価な)Surface Go 2は投資」と語った。

 同校は新型コロナウイルスの影響について、「3月2日から生徒は1度も登校していない。重要なのは子どもたちの心と身体の健康。身体は運動で補えるが、(心の健康を維持する)友だちや先生とのつながりはMicrosoft Teamsを活用」(正頭氏)し、生徒同士のコミュニケーションや生徒へのカウンセリングに用いているという。

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