統制型(ピラミッド型)の組織とオープン型の組織では、そこで働く人々のマインドセットも、最適なコミュニケーションのスタイルも大きく異なる。
統制型(ピラミッド型)組織では、情報流も指示系統も上意下達になりがちだ。部下は上司からの情報や指示が流れてくるのを待つ。従って、マインドも受け身になりやすい。一方、オープン型の組織では、問題や課題を自ら言語化し、メンバー相互に「私これが困っています」「私これができます」「あなたにこれを期待したいです」などを発信/受信し、能動的に繋がって行動しなければ成果を出すことが出来ない。
相互の受信/発信をしやすくするためには、報漣相ではなく、雑談や相談、あるいはかしこまらない雑な相談(これら2つを総称して最近では「ザッソウ」などと言う)が重要な役割を果たす。テレワークなど、離れた相手同士でもザッソウして、相互理解して、すばやく繋がって成果を出すためには、メールよりもビジネスチャットのようなツールのほうが合理的である。
とはいえ、いきなり慣れていないITツールを使って直ちにオープン型なコミュニケーションに移行するのは難しいかもしれない。実際ITツールやテレワーク制度があっても、今回コロナ禍でコミュニケーションの課題が浮き彫りになったのは前述の通りだ。いきなりオープンな野原に放つのではなく、ある程度コミュニケーションのルートやフローが整っている「田んぼのあぜ道」をまず歩いてみる。そのようなステップが大事だ。
そこで、ワークフローおよびワークフローシステムが役に立つ。なぜなら、ワークフロー(システム)とは、コミュニケーションルートを定義および整理することそのものだからだ。
ワークフローの概念を使えば、日々の業務上のコミュニケーションの問題や課題を言語化することができる。
コミュニケーションルートは情報が流れる順番や流れ方などによっていくつかのパターンに分けることができる。Aさん→Bさん→Cさんと順列に流れていくものは「直線型」、Aさん→同時にBさんとCさん→いずれかからDさんのように並行して流れるものは「並列型」といった具合だ。
そしてこのルートは流す情報に応じて決めることができる。単に情報共有や回覧の目的であればシンプルな直線型で良いだろうし、提案や稟議など複数の人に承認や意思決定をしてほしい場合には並列型や、より緻密なコミュニケーションルートを設定することが必要だ。
このようにワークフローを使えば、コミュニケーションのルートが明確になるため、「誰に」「何を相談したらよいか」もわかりやすくなる。コミュニケーションのハードルを下げると言える。
いきなりのオープンなコミュニケーションがうまく機能しない場合、コミュニケーションルートをある程度規定しよう。ワークフローは、そこに威力を発揮する。また、ワークフローはペーパーレス化に貢献する。すなわち、今問題視されている、紙文書問題、ハンコ問題も同時に解決することができる。
テレワークをやめて、元の働き方に戻してしまうのでは進化がない。浮き彫りになった組織の問題や課題を正しく言語化し、正しく解消していく。テレワークはそのきっかけを与えてくれているのだ。
コミュニケーションや意思決定スタイルがオープン型に進化すると、従来の人事評価制度や雇用形態さえもアップデートを迫られる。
わが国においても、ジョブ型雇用が注目されつつある。ジョブ型雇用を機能させるためには、前提として各々の組織における業務定義が欠かせない。まずは、自組織のミッション、期待役割、そして業務内容を定義してみてほしい。そうすると、組織のミッションや期待役割と実際の業務内容、あるいはメンバーのスキルなどのギャップが見えてくるはずだ。業務の属人化や偏りなども把握できるであろう。その現状把握や定義を怠って、ジョブ型雇用に走るのは、一足飛びすぎる。
ワークフローはここでも威力を発揮する。業務を可視化することで、組織間、あるいは人と人との責任分界点が見えてくる。業務の目的、組織の役割、メンバーの役割を(再)定義できるのだ。
テレワークやジョブ型雇用など、オープン型のスタイルに舵を切るためには、情報流や役割責任などのインフラ(基盤)をより明確にする必要がある。ワークフローの導入は、そのための一丁目一番地とも言えよう。
ウィズコロナ、ポストコロナ時代に向かうには目の前の課題が山積している。現状挙げられている課題を見る限り、今多くの企業はピラミッド型→オープン型への過渡期にあり、ワークフローはそのスムーズな移行を支えるツールと考えている。ワークフロー総研では今後もオウンドメディアサイト中心に情報発信を続けていく。ぜひ参考にしていただきたい。
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