Juniper Researchによると、デジタル音声アシスタントは、2018年末の時点で、スマートフォンやスマートスピーカー、自動車など、全世界で推定25億台のデバイスで使用されていたという。2023年までに、その数は80億台まで増加し、世界の人口を上回ると予想されている。
マサチューセッツ総合病院でダウン症プログラムの共同ディレクターを務める医師のBrian Skotko氏によると、AmazonのAlexaやAppleのSiri、Googleアシスタントは、こうした人々が社会でより自立した生活を送れるように支援する強力なツールになり得るという。
ダウン症患者が、薬を服用する時間の把握やスケジュールの管理、お金の取り扱いなど、日常生活のさまざまな活動に苦労するのは、よくあることだとSkotko氏は話す。
「ダウン症患者は少しの助けを必要とすることもある。だが、適切なリソースとサポートがあれば、それらの問題を克服できることを彼らは実証している」(同氏)
同氏は、そうしたサポートを提供するうえで、スマートテクノロジーは大いに役立つことができるという。
「音声アシスタントは、ダウン症患者にとって機会を均等にする手段の1つにすぎない」(同氏)
Googleは、あらゆるユーザーが自社の製品にアクセスできるようにするため、数年前からアクセシビリティーの問題に取り組んでいる。「Googleマップ」チームは、地元のガイドを利用して、車椅子の人のためのスロープや入り口がある場所を探すプログラムを立ち上げた。また、同社は2019年、周囲にある物体やテキスト、人について音声で情報を伝えることで、視覚障害者を支援するAndroid向けアプリ「Lookout」をリリースしている。
自社の製品やサービスを、障害のある人々にも利用しやすいものにするという傾向は、大手テクノロジー企業の間で広がっており、Googleの取り組みもその一例だ。とりわけ、デジタルアシスタントが大きな注目を集めており、Amazonなどの企業は自社製品を強化して、聴覚などに障害のある人にも利用しやすくする取り組みを進めている。
Googleなどのテクノロジー企業が、これらのツールの開発に障害者コミュニティーを取り込み、障害者が取り残されないようにすることが重要だ、とSkotko氏は言う。
「テクノロジーの開発にダウン症患者の人々が加わらなければ、彼らのニーズに対応しないテクノロジーを作り出してしまうリスクを冒すことになる」(同氏)
Googleとダウン症コミュニティーは、次のようにして出会った。
Project Euphoniaでは当初、ALS(筋萎縮性側索硬化症:脳や脊髄の神経細胞に影響を及ぼし、不明瞭な発音や言語障害をしばしば引き起こす進行性の神経変性疾患)患者から音声サンプルを収集することに重点を置いていた。Googleのソフトウェアが、録音されたALS患者の音声を取り込み、その音声サンプルをスペクトログラム(音声を視覚的に表したもの)に変換する。次に、コンピューターが、よく記録されるスペクトログラムを使ってシステムを訓練し、こうした一般的でない話し方をより正確に認識できるようにする。
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