新型コロナウイルス関連

コロナで変わるこれからの不動産会社--3社が話す業務とオフィスと働き方 - (page 2)

アフターコロナも含め今後注力する領域、キーワードは?

 最後に桜井氏が「アフターコロナも含め今後注力する領域、キーワードは」と聞くと、野口氏は「DXの礎となる物件データ」と回答した。「今回のコロナを機会にデジタル・トランスフォーメーション(DX)しなければいけないというマインドセットは形成された。しかしそれを阻むのはデータがないということ。不動産業界では、物件データはマイソク(物件の概要をまとめた資料の通称)、やりとりは電話やFAXでログも残らない。まずこれをデータ化しないとDXはできない。今こそ、ちらばっている物件データを統一するタイミング。申込受付を電子化できる『申込受付くん』なら、リアルタイムで物件情報を取得できる。物件データがあることにフォーカスしていきたい」と、データ化の推進していく構え。

 さらに「『ぶっかくん』『内見予約くん』とサービスを拡充することで、不動産管理会社の業務支援をフルカバーできるようなオンリーワン企業になれたと考えている。導入企業は不動産仲介会社も増えてきており、ここまで浸透したことで、他社の追随が難しいユニークな立場になったと捉えている」と現状を説明した。

 一方、樋口氏は前回の質問に続き、ここでも「ワンストップ関連」を挙げる。「オンラインでのサービスは、使ってもらうまでが大変だが、一度使ったら離れられない便利さがある。私自身もオンラインでの宅配サービスなど、使ったことがなかったが、外出自粛になってからのこの2カ月間でものすごく使った。不動産業界の問題は、今までDX化しなくても業務が成り立っていたこと。顧客側からしても、取引の数が少ないので、効率化を求めることがなかった。しかし、非対面、リモートワークが求められたコロナ下で、企業側も顧客側もオンライン、デジタルツールに慣れ、使って見ると離れられない便利さが証明された」とDX化への理解が深まったと指摘した。

 さらに「ワンストップ化は創業以来目指していたが、その効果や価値が顧客側にも理解してもらえるようになった。不動産領域以外でもオンライン化され、効率化されたサービスはいくつもある。今後もこの領域に積極的に投資し、不動産売買の領域を変えていきたい」と樋口氏は今後を見据える。

 シリコンバレーに拠点を置き、サービスを提供する内藤氏は、サービスの利用者が増えるほど、インフラとしての価値が高まることを意味する「ネットワークエフェクト」を掲げる。

 「シリコンバレーでビジネスをしていて、絶対に聞かれることの1つが、ネットワークエフェクト。マーケットプレイスのビジネスで最も大事と言われており、コロナ下の今は、ホテルやコリビングサービスのオーナーが、Anyplaceのプラットフォームに興味を持っている。アフターコロナにおいてもリモートワークが広がり、デジタルノマドをする人たちは増えていくとみており、そこにどれだけエンゲージできるかに注力している」と現状をチャンスと捉える。

 パネルディスカッション後には、視聴者からの質問にも答えた。リモートワークが推進される中、今後のオフィスのあり方について問われると、樋口氏は「今まではスタッフ数に応じてスペースを確保してきたが、今後同様にオフィスを拡大するのかといったらそれは考えづらい。ただ、GAテクノロジーズはネットとリアルの双方を持っているのが重要な部分。そう考えるとすべてをリモートに切り替えるのは現時点では無理。対面は重要であると考えている。効率化はしていくが、すべてをリモートでという方向性にはならないと考えている」とコメント。

 野口氏は「オフィスの中身を変えなければいけない。商談スペースは密になってはいけないし、会議室を大きめに設定するなどの変化が必要になるだろう。オンラインでの商談が増えると、社内にセパレートされた空間もいる。オフィス内での考え方が変わると思っている」とした。

 すでにリモートワークになっている内藤氏は「オフィスでパフォーマンスが出るという人も必ずいるので、リモートとオフィスの選択性になると思う。リモートワークだと成果が見えづらいという話しもあると思うが、Anyplaceでは、ダッシュボードでチームのKPIや個人の業績をすべて見られるようにしている」と、説明した。

オンラインイベントでは、桜井氏の質問に対し、野口氏、樋口氏、内藤氏の3名がフリップで回答を出す形式で行われた
オンラインイベントでは、桜井氏の質問に対し、野口氏、樋口氏、内藤氏の3名がフリップで回答を出す形式で行われた

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