宇宙が好きな人のために、Aura Flightsという企業は、地球の上空で遺灰を散布するサービスを提供している。ガス気球を使って、地球表面の30km以上上空にある近宇宙と呼ばれる領域まで遺灰を運ぶ。そこで、遺灰の入った散布容器が開き、遺灰が地球に向かって降り落ちていく。この様子はカメラで撮影されるので、故人を愛していた人々はいつまでもその映像を大切に残すことができる。
遺灰は成層圏の風に乗って世界中に運ばれ、数週間~数カ月をかけて地球の大気と結合した後、最終的には雨粒や雪片になる。同社は2016年以降、500回以上にわたり、この近宇宙飛行を実施している。
Aura Flightsの共同ディレクターのChris Rose氏によると、この宇宙葬の形式だと、愛する人の遺灰を散布する理想的な場所を1つだけ選ぶ、ということに頭を悩ませる必要がなくなるという。「遺灰は世界中に散布されるからだ」(Rose氏)
Rose氏は、このプロセスは環境を破壊するものではないと言う。遺灰を散布した後、気球は気圧の変化によって、上昇と膨張を続ける。最終的には破裂し、飛行を追跡および監視するためのコンピューター機器など、運んでいた機材をパラシュートシステムで地球に落下させる。Aura Flightsのチームが、コンピューターシミュレーションと気象データを用いて飛行経路を予測し、すべての機器を回収する。
Rose氏によると、地球の大気中に放出される遺灰は無菌で、「その時点では、人体の『象徴』になっている」という。
Rafal ZebralaさんはAura Flightsのサービスを利用して、がんとの闘病の末、2020年1月に亡くなったパートナーのMarek Mochさんの願いを叶えた。
3月上旬、約10人の近親者と友人が、英国のシェフィールドの郊外にある発射場に向かった。Mochさんの遺灰が空に打ち上げられる前、彼らは思い出を分かち合い、シャンパングラスを掲げた。
「つらい時間だった一方で、それはとても穏やかで、感動的な式典だった。心が和むような場面さえあった。(Marekは)パイロットになることを夢見ていたものだが、今はその上空にいる。顔を上げれば、いつでも彼と話すことができる」(Zebralaさん)
Celestisを利用したChristineさんも、車で墓地まで行かなくても、夫とのつながりを感じられることに喜びを感じている。空を見上げればいいのだ。
「彼がいつもそばにいるような気がする」(Christineさん)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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