ニューメキシコ州にある商業用宇宙港、Spaceport Americaの施設「Gateway to Space」で出されたチャイラテは、Virgin Galacticの従業員たちが筆者に約束したとおり、本当においしかった。
確かに、その泡立った甘い飲み物は美味だったが、それが脳の快楽中枢に引き起こす信号は、全体的な体験のほんの一部分にすぎない。Barista Islandと呼ばれるこのカフェコーナーを取り仕切る給仕スタッフは、ラテの泡を上手に作れるだけでなく、サービスと世間話にも熟達している。そして、バックライトで照らされた白い大理石のカウンタートップで構成されるこのBarista Island自体も、美的感覚を満足させてくれる。1杯分のカフェインと、光を放つカウンタートップの表面が相まって、これ以上想像できないほど温かく、ふわふわとした、優しい目覚めの環境を作り出している。
初めて地球を離れる人は、出発当日の朝をこのように過ごすべきだとVirgin Galacticは考えている。英国の実業家、Richard Branson氏の宇宙旅行会社であるVirgin Galacticは米国時間8月15日、Spaceportの拠点の運用準備が整ったことを明かし、メディア関係者や要人を最初の公式ゲストとして歓迎した。
Barista Islandは、「Gaia」と呼ばれる1階部分のラウンジの中心となるスペースだが、筆者の視線は、Gateway to Spaceの建物の東側一面を覆う、2階分の高さがある窓に引き寄せられた。
「まるで、もう無重力状態になっているような気分にさせてくれるだろう」。Virgin GalacticのデザインディレクターであるJeremy Brown氏は、建物内の大きく奥行きの深い機体格納庫からGaiaラウンジへと続く回廊を、私たちの先に立って歩きながら、そう言った。
ガラスの向こう側に見えるのは、典型的な南西部の砂漠と惑星間旅行の未来が融合したような風景だ。鮮やかな青空の下に何千平方メートルもの低木地が広がり、その背後には黒々としたサンアンドレス山脈が鎮座している。その手前の大部分を占めるのは、幅の広い駐機場と誘導路、滑走路だ。ここから、Virgin Galacticの双胴型輸送機「VMS Eve」が定期的に離陸している。
この型破りな双胴ジェット機は、ロケット推進型のスペースプレーンを高高度まで運ぶために設計されたが、今はそれなしで飛行している。VMS Eveは現在、早ければ2019年中にも商用機として乗客を軌道まで運ぶための準備を進めており、進行中の試験プロトコルの一環としてタッチアンドゴーを実施している。
ほかに何もない高地の砂漠地帯の真ん中に立って、この風景を眺めていると、少し現実離れした感じがする。まるでGateway to Spaceの建物とそのまばゆい窓が、この宇宙の未来のような光景を、21世紀というよりも19世紀に近い風景に重ねた、建物サイズの拡張現実ゴーグルであるかのように思える。
だが、パイロット、Virgin Galacticの宇宙飛行士、そして自分の役割をこなす運用担当者で構成されるこのすべての光景は、温かいチャイが入った手の中のマグカップと同じように、現実に存在するものだ。
格納庫と駐機場の間にあり、1歩踏むたびに点灯するインタラクティブな通路の端にVirgin Galacticの最高経営責任者(CEO)であるGeorge Whitesides氏が立っていたので、話しかけてみた。そして、乗客を乗せた最初の商用機が離陸するのはいつになるのか、という当然の質問をした。
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