Appleは4月、テクノロジー系メディアからの絶え間ない叫びに反応して、パワフルなエントリーレベルのiPhoneを発表した。価格が399ドル(日本では税別4万4800円)からの「iPhone SE」は、同社独自設計のハイエンドプロセッサー「A13 Bionic」を搭載する、非常に破壊的な新製品だ。このプロセッサーは性能的に、価格帯が1000ドル以上のAndroidスマートフォンで採用されている、Qualcommの「Snapdragon 865」を上回る。
これだけでもAndroidにとって悪いニュースだが、iPhone SEのメインカメラは1台で、Appleの最も高いデバイス「iPhone 11 Pro」のメインカメラに引けを取らない品質の写真を撮影できるのだ。
実際、これはAndroidキラーだ。競合するAndroidデバイスメーカーが対抗する術はなさそうだ。安上がりにアップグレードできるというのに、同じ価格もしくはより高いわりに性能の劣るAndroidデバイスを買う人がいるだろうか。
もしAppleがAndroidに勝利できるとすれば、スマートフォン以外の低価格製品で他のどのような競合製品を揺るがすことができるだろうか。
最初の相手は、任天堂の「Switch」などの携帯型ゲームデバイス業界だ。しかもAppleにとって開発に必要な時間は長くないはず。Switchの希望小売価格は299ドル(日本では税別2万9980円)だが、品不足の今、一部でははるかに高い価格で販売されている。
iPhone SEから電話機能を取り除いて、任天堂Switchと同じようなゲームコントローラーを追加するのはAppleにとって簡単なことだろう。
Appleはこの「iPod Arcade」をコントローラーなしで199ドル(現行のiPod Touchの価格だ)に設定できるだろう。このモデルを129ドル以下に値引きすることもできそうだ。
iPod Touchはあまり売れていないが、現行モデルはiPhone SEをWi-Fiのみにするよりも性能が低いのだ。別売コントローラーを100ドル(約1万1000円)にして、「Apple Arcade」の1年分のサブスクリプション(月額4.99ドル、日本では600円)をバンドルしたらどうだろう。iPod ArcadeのOSはもちろん、プレーンなiOSで、App Storeのアプリはすべて稼働する。
誰もが家に留まり、当面はビデオ会議ツールを必要とする今、多くの人がデスクトップ型のPCやMacで使える高性能なウェブカメラを探している。
率直に言って、現在市場にあるウェブカメラの多くはMacとの相性が悪く、付属のアプリは標準以下だと筆者は考えている。
Appleなら、iPhone 11の前面カメラで採用しているものと同じ広角1200万画素カメラセンサーを、USB-CあるいはUSB-A接続の小さなクリップ式ハウジングに納めるのはお手の物だろう。夜間利用のためのLEDライトとまともなマイクも付けて、Macだけでなく次期「Apple TV」でも接続するだけですぐに使えるのがいい。上位モデルには「FaceID」センサーも追加したいところだ。
価格は、基本モデルは99ドル(約1万1000円)、FaceID付きの上位モデルは199ドル(約2万1000円)。そしてもちろん、AppleはこれをWindowsにも対応させる。仕上げに、企業向けビデオ会議用に強化した「FaceTime」を追加して、それを付加価値サービスとして価格設定するといい。
Appleには既に「Beats by Dre」シリーズという、「AirPods」と「AirPods Pro」より低価格なイヤフォンのラインアップがある。だが、このシリーズで最も安いのは149ドル(日本では税別1万4800円)の「Powerbeats」だ。これはモバイルとアウトドア向きにデザインされたインイヤータイプの製品だ。そして、オンイヤータイプのヘッドフォンで最も安いのは199ドル(同2万800円)の「Beats Solo 3」だ。
Appleには、99ドル前後のオンイヤータイプの製品が必要だ。最低限のアクティブノイズキャンセル機能があるといい(家で使うのにノイズキャンセルが必要だろうか)。この製品は低価格でも装着感が良く、通気性がいいので汗をかきにくい。家で使うことを前提にした設計で、両耳にマイクを搭載する。このマイクは「Siri」のコマンドに対応し、FaceTimeや「Zoom」での利用にも十分だ。
音質にそれほどこだわらない一般的なコンテンツ消費向けの良質な99ドルのオンイヤー型ヘッドフォンは、中国のオフブランドメーカーを追いやるだろう。SoundCoreシリーズという優秀な製品を出しているAnkerのようなメーカーでさえ、AirPods SEと競うのは難しそうだ。
皆さんはどうだか知らないが、私は映画とテレビ番組をストリーミングするしか能のないSTBにうんざりしている。Appleは、現在199ドル(同1万9800円)の「Apple TV 4K」をそろそろ完全にリフレッシュするべきだ。
Rokuのような競合は下は30ドルから上は99ドルまでのデバイスを販売している。Amazonのハイエンドの「Fire TV Cube」は119.99ドル(日本では税込1万4980円)で、これもいい製品だ。
誤解しないでほしい。私はうちの「Roku Ultra」もFire TVも気に入っている。だが、これらに勝つにはどうすればいいだろうか。A13プロセッサー搭載で99ドルのApple TVだ。これならApple Arcadeのゲームもできる。50ドルのApple Arcadeコントローラーと接続すれば完了だ。
私は4Kも必要ない。99ドルで解像度が1080pもあれば十分だ。私は4Kコンテンツに関心がないので。現実を直視しよう。このステイホームな生活がいつまでも続き、コンテンツを配信するネットワークが圧迫され続けるとしたら、ほとんどの家庭で4Kコンテンツをまともに再生できない、帯域幅が制限された生活を強いられるだろう。
「Apple Watch Series 3」は199ドル(日本では税別1万9800円)と十分手ごろな価格だ。だが、もっといいものを知っているだろうか? 149ドル(約1万6000円)の「Apple Watch SE」だ。これは同じ価格の「Fitbit Versa」と競合する。この製品を凌駕できると筆者は考えている。
このデバイスは38mmのワンサイズで、(カシオのG-SHOCKの古いモデルのように)プラスチックとウレタンゴムでできており、バンドは交換できない。
ネットワークはBluetoothとWi-Fiのみで、心拍センサーは備えるが心電計はない。Appleには、パルスオキシメーターのような血中酸素濃度センサーを導入してほしい(パルスオキシメーターは現在、新型コロナウイルス感染症患者が無症候性肺炎で死亡する可能性があるという最近の発見の影響で品不足になっている)。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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