Googleの親会社Alphabetの傘下にあるSidewalk Labsは米国時間5月7日、カナダのオンタリオ州トロントにあるウォーターフロント地区にハイテク都市のハブを構築する計画を廃止すると発表した。
論争の的となっていた同プロジェクトは、再開発計画を募集していたトロントのキーサイド地区に未来型都市を構築することを目指したものだった。一時は、建築物に環境的に持続可能な木材と、フレキシブルに移動できる壁面パネルを使うことが構想されていた。また、公共施設の利用状況を測定するセンサーが設置される予定だった。プロジェクトの詳細をまとめた基本計画書は1500ページにも及んだが、その後、12エーカー(約4万9000平方メートル)の区域に規模が縮小された。
Sidewalk Labsの最高経営責任者(CEO)Dan Doctoroff氏は、COVID-19のパンデミックに伴う経済危機をプロジェクト廃止の理由として挙げた。
「未曾有の経済不安が世界中とトロントの不動産市場を覆っているため、計画の中核部分を犠牲にすることなく12エーカーのプロジェクトを財務的に実行可能とすることがあまりにも困難になった」と、Doctoroff氏はブログ記事に記した。
2015年に創設されたSidewalk Labsは、同プロジェクトが一歩前進する度に批判を浴びていた。プライバシー保護団体から、データ収集や大衆監視につながる可能性を懸念する声が上がっていたためだ。2年前には、オンタリオ州の情報およびプライバシーコミッショナーを以前務めていたAnn Cavoukian氏を含む複数のアドバイザーが、プライバシー問題を理由に辞任した。
同プロジェクトは、地元の活動団体の反感も買っていた。スマートシティー計画に反対していた団体であるBlock Sidewalkは7日、廃止の決断を称賛した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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