Alphabetのスマートシティープロジェクトが、これまでで最も大きな前進を果たした。Googleの兄弟会社Sidewalk Labsが現地時間6月24日、トロント東部にあるウォーターフロント地区にハイテクハブを建設する計画の詳細な提案を発表した。
このプロジェクトは未来の都市を構想したもので、建築物には環境面で持続可能な木材や、フレキシブルに移動できる壁面パネルが使われる。また、突然の悪天候から人々を守る自動式の雨よけや、公共施設の利用状況を測定するセンサーが設置されるという。しかし、2015年に創設されたSidewalk Labsはその一方で、データの収集や大衆監視につながることを懸念するプライバシー保護団体からの批判にも直面している。
このプロジェクトで主に開発されるのは、Quayside(キーサイド)とVilliers West(ビリヤーズウェスト)という2つの地区だ。その後、これら2地区の周辺に対象を拡大し、ウォーターフロントのより広い地域を開発する可能性があるという(Sidewalkはこの開発地域を「IDEA District」と名づけている)。
全体的には、上記2地区の開発で39億ドル(約4200億円)規模のプロジェクトになると、Sidewalkは述べている。今後はこの提案に対する投票が、ウォーターフロント地区の再開発を監督する組織Waterfront Toronto、およびトロント市議会において、2020年初めまでに行われる予定だ。
だが、Waterfront Torontoは24日、この計画の一部を批判する公開書簡を発表した。Waterfront Torontoの理事長を務めるStephen Diamond氏は書簡の中で、SidewalkがQuaysideの範囲を超えた開発予定地区について提案を行うのは「時期尚早」だと述べている。さらに同氏は、このプロジェクトにおける「データ収集、データ利用、デジタルガバナンス」について懸念を示している。「成功の要件は何かという点で、Waterfront TorontoとSidewalk Labsの見解が大きく異なることは明白だ」とDiamond氏は主張している。
Sidewalkは、データに関する業務はすべて独立したデータ信託機関が行うことになるが、Sidewalkとしては、ユーザーの同意なしに個人データを販売したり、広告に利用したり、第三者に公開したりすることはないと述べている。また、データは匿名化され、クラウドに送信されることはないという。ただし、独立したデータ信託機関が、そのような誓約に縛られるわけではないともSidewalkは述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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