「Apple Watch」はいかにしてファッションからフィットネスの必需品になったのか - (page 3)

Shara Tibken (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年04月27日 07時30分

 Appleは2019年、Apple Watch Editionを復活させたが、第5世代では、18Kのゴールドモデルではなく、チタニウムまたはセラミック製のモデルが用意された。現在日本で販売されている中で最も高価なのは、スペースブラックのリンクブレスレットバンドを備えた44mmのホワイトセラミックモデルで、価格は1749ドル(日本では税別18万2800円)。Hermèsモデルは最も高価なもので1499ドル(同15万9800円)だ。常時オンのディスプレイを備えた新しい「Apple Watch Series 5」は399ドル(同4万2800円)からとなっているが、旧モデルの「Apple Watch Series 3」はわずか199ドル(同1万9800円)で購入できる。

 Creative StrategiesのアナリストのCarolina Milanesi氏は、Apple Watchについて、「贅沢品から非常に便利なデバイスに変わった」と指摘している。

完全なコンピューターではない

 最初に登場したとき、Apple Watchは手首に装着可能な小型スマートフォンとみなされていた。発売の時点では、フィットネストラッキングからメッセージング、その他細々としたものまで、さまざまなアプリが合わせて3000本以上提供された(Appleが当初予想していた1000本よりも多かった)が、Apple Watchが機能するには、コンパニオンであるiPhoneが必要だった。当時、アプリストア分析を手がけるAppFiguresは、アプリストアで提供されるApple Watch向けアプリの本数が1年以内に約10万本に達すると予想していた。

 だが、その予想は大きく外れた。

 現在、Apple Watchで動作するアプリは約2万本ある。そのほとんどは、完全な機能を発揮するのにiPhoneを必要とし、iPhoneの拡張機能のように働く。参考までに、初代モデルの発売から13年が経過したiPhoneのアプリストアでは、約200万本のアプリが提供されている。

 GoogleやAmazon、eBay、Target、TripAdvisorといった企業は、初代モデルの発売から3年後にはApple Watch向けアプリのサポートを終了した。そして当初、それらのアプリが姿を消したことに誰も気づかなかった。

 アナリストによると、Apple自体もApple Watch向けに22本のアプリを提供しており、同スマートウォッチでは、それらのアプリが最も利用されている傾向があるという。Apple Watchの当初からの用途、つまり、天気の確認やフィットネストラッキング、メッセージなどの簡易的な通知の確認といった用途に回帰しているのだ。これらの機能はすべてAppleの純正アプリで提供されるため、多くの機能を利用するためにサードパーティーのアプリを使う必要がなくなっている。

 Technalysis ResearchのアナリストのBob O'Donnell氏は、次のように述べている。「Apple Watchにとって、『iOS』のアプリエコシステムほど優れたものはない。ほとんどの場合、ユーザーはAppleのアプリをすべて使うことになり、サードパーティーのアプリは1つか2つだけになるだろう」。

 その1つか2つのアプリは多くの場合、メッセージングやフィットネス、音楽関連のものだ。モバイルの洞察と分析を提供するApp Annieによると、Apple Watch機能に対応したサードパーティーのモバイルアプリのうち、世界で最もダウンロードされているのは、「Facebook Messenger」「DingTalk」、Spotifyだという。

健康とフィットネスが主役に

 フィットネスと健康は、人気の高い「アクティビティ」トラッキングアプリと「ワークアウト」アプリを通して、最初からApple Watchの一端をなしてきた。しかし、今では、たくさんある機能の1つではなく、主役になることが増えている。現在、新しいApple Watchは泳いだストローク数や月経周期を追跡できるほか、周囲の騒音が聴覚に悪影響を与える可能性があるかどうかも通知してくれる。心電図(EKGやECGとしても知られる)を測定して異常な心拍を検出する機能に関しては、米食品医薬品局(FDA)の承認も得ている。

 また、ユーザーの健康状態を改善するためにApple WatchとiPhoneのデータを共有できるようにする複数の研究の取り組みで、Appleはさまざまな組織と協力している。2019年には、Johnson & Johnsonの製薬ブランドであるJanssenと提携して、65歳以上の人々の心臓の健康改善に関する研究に取り組むことを発表した。現在では、研究対象を聴覚や女性の健康、身体活動と心臓の健康の相関関係にも拡大している。

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