――ラジオのオンエアと平行して、Periscopeで動画配信もされていました。ときどきエフェクトをかけてクラブ風の雰囲気を出しつつ、ラジオでしゃべりながら一人で機器を操作し、ツイッターをチェックしてリクエストに応える姿は神業的な印象でした。また、画面から見える範囲ですが、Mac2台、iPhone、iPadという複数の機器を使い分けて操作されていたようです。それぞれどんな役割があったのでしょうか。
音がいいので自宅から放送している感じがしないのではないかと思い、同じにリアルタイムの動画配信もしました。今回の機材をざっと説明しますと、こんな感じです。
・MacBook Pro 1:配信・放送用。
・MacBook Pro 2:DJソフトウェアを使用して楽曲PLAY。動画をPeriscopeで配信(配信ソフトはOBSを使用)。Tweetdeckで各ハッシュタグツイートをチェック。
・iPad:KLANGアプリ(サンプラーとしてBGMやジングルを再生)。KAKAOトーク(オンエアではできませんでしたが、リスナーと電話をつなぐ準備をしていました)。
・iPhone:Skype(スタジオとのトークバック的なやりとり)、Twitterアプリ(保存された紹介したいTweetをこちらで)、EpocCam(iPhoneがMac配信用のワイヤレスカメラに)。
OBSはカメラも複数台、ロゴやレウアウトを自由に組むことができます。多数の配信プラットフォームに対応していてストリームキーなどや配信レートなど設定を行なって負荷がかからないように設定を組みます。
PeriscopeにもOBSにもエフェクト機能はないので、こちらはSnapchatでお馴染みSnapがデスクトップ用ソフトとしてリリースしているSnap Cameraを使用しました。配信の際にこのSnap Cameraを仮想カメラとして立ち上げる形です。
この他にマイク、マイクスタンド、あと電波時計なども使用しました。すべての機材を接続するオーディオミキサー。最終的にはこのミキサーを配信用MacにUSB接続して使用します。
――自宅にいながら、ツイッターでリアルタイムにリスナーからの曲のリクエストに応えていらっしゃいました。ご自身のMacにデータがたくさん入っているのですか?
基本はDJ用のMACに5万曲ぐらいありますが、自宅サーバーには数十万曲を構築しています。それでも曲がない場合は、普段の放送ではリモートで引っ張ってきます(笑)
あの深夜帯で、番組ハッシュタグが1400ツイート、リクエストハッシュタグで260ツイートでした。通常メールでの受信ですと500~600通のリクエストなので、それに比べると少ないですね。ただ4月11日 は普段見ない方の投稿が多かったです。リクエストはあえてせず『聴き専』に回った方が多いのかもしれません。映像のストリーミングは4295ビューアーでした。
――前から遠隔で放送する計画があったそうですが、非常事態宣言を機会にトライを早めたのでしょうか。
この春に試験的にJ-WAVEの別枠放送で1度テストできたらと考えておりました。今回のコロナの状況を受けて、こうしたケースが模索されると思ったので試験ではなくいきなり本番に使用しました。結局リアル放送で構築していかないと実用にはならないので。
――J-WAVEスタジオ、事務所、自宅とやってみて、印象はどう違いますか?
やはり放送局、スタジオに勝る環境はありません。機材、スタジオ環境、そしてスタッフのサポートなくしてできない部分は大きいです。
今回も僕の放送中継を局側で受信して送出しているので、僕1人だけでの力ではありません。ただラジオは“機動力”だと思っているんです。何かが起こっている時に、そのことを遠く離れたところで伝えるのではなく、その場に行けるだけの機動力が重要ではないかと思います。
『どこから放送する』よりも『何を伝えたいか?』の方が大事だと思います。そのためにどの環境を取るかが大切ですね。
今回自宅から配信を行なったのは、テレワーク放送の実用実験的な部分もありましたが、このコロナウイルスの影響で自宅待機の中不安なお気持ちを抱えている皆さんと僕も同じ自宅という環境で、より皆さんに身近に感じてもらえる放送をしたかったんです。
なかなか先が見えないこの状況で少しでも気分を変える、気持ちのスイッチとなるのが音楽だと思います。
ただ音楽を聞くだけならいろんな手段がありますが、いまこのタイミングでその曲が流れることに意味があります。
4月11日の放送では「雨音を聞きながらこの曲を聴くのもいいですね」というツイートがありました。その通りなんです。聴くシチュエーションによって同じ曲でも聞こえ方が変わります。
持っていたCDの中の1曲で、そこまで印象がなかったのに、なぜこの曲のよさに気づかなかったのだろう?というメッセージもよく聞かれます。
皆さんZoom飲みなどオンラインで昨今集まってらっしゃいますよね。実はラジオも同じなんです。何かを『しながら』どこかつながりを感じる『人肌メディア』なんです。
――今後もテレワークでオンエアすることがあるのでしょうか?
今回は前回よりも安定した音質、また自分自身も自宅というよりリラックスした環境での放送となったので、いつもとちょっと違った雰囲気だったと思います。より身近に感じていただけたらうれしいです。
次回はもうテスト的な要素はないので、その機会にあった形で行いたいと思います。あまり考えたくはありませんがコロナの影響がより深刻する状況となればこういったケースも増えてくるかもしれませんね。
別の切り口ではスタジオでのゲスト出演が難しい方など、このスタイルでリモート的に高音質なインタビューなどができる可能性もあると思います。
J-WAVEでナビゲーターとして活動して2020年で22年⽬になります。当初は初のインターネットと連動した番組だったり、ブログを導入した番組、また初の本格的スタジオ生動画配信をしたりとつねに新しい形にチャレンジしてきました。
僕の中でラジオができる2Wayの限界に挑戦みたいなところがあります。例えばツイッターで『あの曲が聞きたいな』ってツイートを発見したら、その10秒後にはもうMIXして流したりします。
でも、究極の2WAYは僕がリスナーと同じ環境にあることかな、と考えています。震災以降『災害時はラジオ』って言うんですけれど、僕は本来楽しんで聞いて欲しいです。不安な日々が続きますが、音楽にはたった1曲で気分を変える、気持ちを前向きにできる力を持っています。『ながら』で聞けるラジオをぜひ聴いてみてください。
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