自宅には机も椅子もない。それならばスタンディングで作業だ――これは在宅でのテレワークとなった編集記者の作業環境における、試行錯誤の記録である。
弊社では、新型コロナウイルス感染防止の対策として、3月下旬から在宅でのリモートワークに移行している。記事掲載時においては、CNET Japan編集部でもスタッフはそれぞれの自宅で作業を行っている。
たまに「ウェブメディアの記者の方は、どこでも記事は書けますよね」と言われることがある。確かに記事制作はノートPCとネットワーク回線があればできるのは事実だ。発表会があればその場で、あるいは近隣のカフェなどで記事を作成して、そのまま掲載するということも珍しくはない。とはいえ、“作業ができる”と“作業がしやすい”は別の話。会社であればオフィス用の机に椅子、大きめの外付けディスプレイやキーボード、マウスなど作業環境が整っている。長時間作業するのであれば、なおさら環境は作業効率に関わる部分であり、重要となる。
もちろん人によって最適な環境というのも異なる。編集部のスタッフを見ても、がっつり周辺機器で机を固めているスタッフもいれば、会社であってもノートPCひとつで机がすっきりした状態のスタッフもいる。さらには、会社の外で作業したほうがむしろはかどるというスタッフもいる。そのあたりは人それぞれだ。
筆者の場合、自宅はひとり暮らしなのだが、会社のほうが環境が整っているため、社内の自分の机に座って作業したい派だ。逆に、自宅には椅子や机はなく、ノートPCがひとつ置けるだけの小さなテーブルのみ。普段は床に座って過ごしている。もちろん突発的な対応を行うこともあるが、基本的に自宅で作業することを想定はせず、そのような環境は整っていない。それゆえ、テレワークを試そうと思っても、日々の作業の兼ね合いから、出社して作業を行っていた。それでも3月下旬から自宅での作業を開始。そしてそのまま今に至っている。
本来であれば机と椅子を購入し、それを設置して作業に取り組む……と言いたいところなのだが、在宅テレワーク用の机や椅子もピンキリであり、さらに昨今の需要増の影響からか、手ごろのものは売り切れていたり、入荷に時間がかかる状態。そしてそれ以前の問題として設置のためのスペースを確保しなければならず、そのためには置かれている物などの整理が必要だ。このあたりはお察しいただきたいのだが、とはいえ日々の作業も進めなければならない。
そうしたときにありがちだと思うのだが、とりあえずノートPCを段ボール箱で高さを上げて、その前にあぐらをかいて作業をしたり、さらには膝の上にクッションを載せ、キーボードを載せて作業する……といったこともしていた。ただ、ノートPCとの画面と距離ができ、またマウスは床で操作するというところで、やりずらさも感じていた。
また、ノートPCの画面が小さい一方、PC用のディスプレイやタブレットなどサブディスプレイとなるものを持っておらず、作業のしにくさを感じていた。そうしたことから40インチのテレビに接続して作業するということも試した。写真や画像の細かい調整をともなわない作業であれば、これはこれでありなのでは……と思えたところもある。
そんな試行錯誤している話を知人にしたところ、床に座って同じ姿勢を長時間続けるのは、腰に負担をかけるというアドバイスをいただいた。もちろん、座布団などで腰の高さを上げるなどの工夫もしていたが、負担がかかっていることは筆者でも感じていた。とはいえ、すぐに机や椅子が設置できない状況でもあったため、どうしたものか……と思案しながら、通販サイトで机や椅子を眺めていたところ、スタンディングデスクが目に入った。そして、部屋の片隅には物が積みあがっている場所があり……。
あくまで個人的な感覚ではあるが、スタンディングで作業すると、仕事へのスイッチが入りやすい感じるところがあり、“仕事している感”もあるように思う。また、普段は使わないような背中の筋肉も使っているようにも感じる。安定した場所でキーボードを打てるのも魅力だ。もちろんスタンディングも長時間同じ姿勢のままでは疲れる部分もあり、今はノートPCを移動させつつ座ったり立ったりと入れ替わり作業している状態だ。
突如として在宅でのテレワークに突入し、ちゃぶ台など床に座って作業をしている人も少なくないと思われるが、たとえば台所など高い位置にノートPCが置けるスペースがあるのであれば、気分転換程度にでも試してみるのもありだ。姿勢を変えることができる作業環境を模索してみてもいいかと思う。
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