LINEは3月26日、宅配デリバリー事業を展開する出前館に300億円を出資することを発表した。LINEは2016年5月に出前館(当時は「夢の街創造委員会」)と業務提携。同年10月に出前館の約22%の株式を取得していた。今回の追加出資で出前館を実質子会社化し、Uber Eatsなどが存在感を強めるフードデリバリー事業で「圧倒的なNO.1を目指す」としている。
今回の出資は、LINEと未来 Fundにより実施する。未来 Fundは、LINEの筆頭株主である韓国NAVERのグループ会社NAVER J.Hubが90%、LINEが10%出資する投資ファンドだ。この出資により、LINEが約36%、未来Fundが約25%の株式を保有することになり、出前館は実質LINEの傘下になる。
これまでも、LINEと出前館はさまざまな領域で連携をしてきた。2016年7月に「出前館」のLINE公式アカウントを開設したほか、2017年7月にフードメニューをLINEアプリ上から手軽に検索・注文できるフードデリバリーサービス「LINE デリマ」の提供を開始。さらにユーザーの相互送客などによって、現在2万1200店舗を超える加盟店、317万人を超えるアクティブユーザー数(直近1年以内に利用したユーザー)に成長しているという。
一方、国内のフードデリバリー市場では、競合サービスである「Uber Eats」が潤沢な資本力で取扱店舗数を急増させるなど競争が激化。これに対抗する形で出前館も配達代行(シェアリングデリバリー)事業を開始し、2020年2月時点で275拠点を展開しているが、「競争力を有する規模までの成長には至っておらず、フードデリバリー業界において国内最大規模を誇る当社の地位は盤石でない」と危機感をあらわにする。
出前館ではLINEから出資を受けることで、(1)直営拠点の拡大や競合他社に対抗できるシェアリングデリバリーサービスの強化、(2)新規顧客開拓のための営業増強、(3)効果的なマーケティング戦略の構築による広告効率の向上、(4)システムの改修、(5)クラウドキッチンの拡大、テイクアウト領域への進出、(6)配達効率の向上を目指す。
具体的には、出前館のユーザー、加盟店、オーダー情報などのデータベースの最適化、トラッキングシステムの最適化、出前館IDのLINE IDへの統合、オーダー数やアクティブユーザー数などのKPIを可視化するBIツールの開発、店舗向けの管理ツールの改修、配達代行やテイクアウトサービスの推進などを進めるとしている。
また両社は、「LINE デリマ」事業の名称を「出前館」に変更することや、テイクアウトサービス「LINE ポケオ」を出前館に事業譲渡し、サービスを「出前館」に統合すること、システム担当者やマーケティング担当者をLINEから出前館に派遣することに合意しているいう。
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