この特集「アフリカの“奇跡”--急成長するIT国家『ルワンダ』の今」では、フツ族とツチ族の民族対立をきっかけに、80万人が虐殺された1994年のジェノサイド事件から26年が経ち、「アフリカの奇跡」と呼ばれるまでに急成長を遂げているルワンダを、さまざまな角度から現地取材するこで同国の“今”をお伝えする。
【おさらい】神戸市によるルワンダ起業体験プログラム「KOBE STARTUP AFRICA in Rwanda」に同行する形で、2週間ほどルワンダに滞在することになった私は、アフリカ初の国産スマホを購入し、現地のSIMカードを契約した(ここまでが前編)。せっかくなので、ルワンダで利用されているネットサービスも使ってみることにした。
スマホとSIMカードを手に入れて現地の携帯電話番号を使えるようになったので、これで思い切りルワンダのネットサービスを使うことができる。そこで、最初に試したのが、配車アプリの「move」だ。
実はルワンダには自動車メーカーのフォルクスワーゲンの工場があり、このアプリも同社が提供している。使い方はUberなどと同じだが、届けてくれる車はもちろんフォルクスワーゲン車。ちなみに、この国を走っている車の約9割はトヨタ車なので、フォルクスワーゲン車を見かけることがあったら、moveで送迎中の可能性も高い。
まず、Google Playストアからダウンロードしたmoveアプリを立ち上げると、電話番号の入力を求められるので、入力してSMSで届いたコードを入力する。その後、名前やメールアドレスなどのユーザー情報を登録する。
最後に、MTNモバイルマネーやクレジットカード、デビットカードから好みの支払い方法を選ぶと登録が完了し、配車依頼が可能になる。
アプリを再び立ち上げると、トップ画面にはUberなどで見慣れた、現在地周辺を走っている車が地図上に表示される。あとは目的地を入力して配車依頼をすると、近くを走っている車とマッチングされる。
迎えに来てくれる間は、アプリ画面にドライバー名と、車種、ナンバープレート番号、そしてドライバーに電話をかけられる「CALL DRIVER」ボタンが表示される。
私は、ルワンダの首都キガリの中心部にあるショッピングモール「Kigali City Mall」の出口付近にある道路沿いから配車を依頼した。比較的分かりやすい場所なのだが、地図上にはすぐ近くに車が表示されているのに、10分ほど待っても一向にやってこない。
そして、2回ほどドライバーから電話がかかってきたので説明するも、やはり現れない……。仕方ないので電話をかけなおし、5分ほど歩いた場所にある高層ホテル「UBUMWE GRANDE HOTEL」を指定したところ、なんとか合流することに成功した。
しかし、これで一安心したのも束の間、今度は行き先を教えてほしいと言われる。ドライバーのスマホ画面にはしっかりと目的地が表示されているが、このドライバーは地図を読むことができず、結局口頭で「次の信号を右」「ここは真っ直ぐ」と指示しながら目的地まで向かうことになってしまった。これなら普通にタクシーを捕まえた方が早かったかもしれない……。
ちなみにその後、moveで数回乗ってみたが、やはり地図を読めないドライバーにはその後も遭遇した。
ルワンダの日本大使館によれば、同国には貧困層も多いことから国民の識字率は68%に留まっており、文字や地図を読めない人も3割近くいるという。すでにアプリなどテクノロジーによって配車の仕組みは構築されているが、そうした背景もありドライバーのスキルには当面課題がありそうだ。
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