朝日インタラクティブは2月18~19日の両日、年次イベント「CNET Japan Live 2020」を開催した。今回のテーマは、「企業成長に欠かせないイノベーションの起こし方」。新規事業やイノベーションを起こすための組織づくりについて、自社あるいは外部から支援という形で最前線の取り組みを行う企業・団体によるセッションが多数ラインアップされたなかで、トップを飾ったのは、三井不動産 経営企画部 ビジネスイノベーション推進グループ長の須永尚氏。「骨太なイノベーションへのチャレンジ。イノベーション人材の発掘・支援とソーシャル化を目指して。」と題してキーノートセッションを行った。
講演で須永氏は、現在、三井不動産グループ内で取り組んでいるイノベーションへの取り組みについて紹介するとともに、現在進行形で試行錯誤しつつ取り組む中で得た知見や悩みについて語った。テーマは、(1)イノベーションの目的、(2)イノベーション人材の発掘と育成、(3)事業化に向けた取り組み――の3点。
三井不動産グループは、直近の中期経営計画「VISION 2025」において、ビジネスイノベーションへの取り組みを盛り込んだ。2018年4月に経営企画部内にビジネスイノベーション推進グループを新設し、組織的に社内イノベーションの取り組みを開始。その中期経営計画におけるイノベーションの内容とは、「まず不動産業そのもののイノベーション。次に、それを行うためにデジタル技術を徹底的に活用する、デジタルトランスフォーメーション(DX)への挑戦。そして、それらの取り組みを通じて新しい収益モデルを作ること」(須永氏)としている。
そこでまず整備したのが、イノベーション創出を支援するための枠組みとしての「事業提案制度(MAG!C:マジック)」である。同制度はグループ全体向けの施策であり、「対象とするテーマについては、当然DXを含むが、それに限定はしないし、既存事業の現場の改善でも、新規事業でも良いという立て付け」(須永氏)となっている。
5月に新規事業のアイデアを募集、応募者に対して研修などのフォローをしつつ、社長、副社長、担当常務および外部の専門家も入れて、1月に最終審査を行う。そこを通過すると、4月1日付で異動し原則専任になる。その後事業計画を策定し、経営会議で認められれば晴れて事業化される。その際には、年齢を問わず、自らが事業責任者となって取り組む形を想定している。
2年間の実績としては、年間の応募が約150件あり、それなりの数と評価している。ただし初年度に通過した6件のうち、現時点で経営会議を通過して事業計画が承認された案件はまだ1件にとどまっている(3月に新規事業として発表される予定)。「現状、このプロセスのスピードを上げていくことが課題」と須永氏は語る。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」