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MRヘッドセット「Magic Leap」が描く“解放”された世界--アボビッツCEO初来日インタビュー - (page 3)

藤井涼 (編集部) 安蔵靖志2020年02月07日 11時08分
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当初は企業向け「8割」、個人向け「2割」

——コンシューマー向けとエンタープライズ向け、まずはどちらに注力するという方針はあるのでしょうか。

 Magic Leap 1と次のMagic Leap 2までは、欧米では80%がエンタープライズ、20%がコンシューマーというバランスになると想定しています。欧米の企業はとてもMRに対して積極的なためです。

 しかし、日本ではコンシューマーの方が多いのではないかと見ています。日本のコンシューマーの皆さんは非常にオープンマインドで頭が柔らかく、テクノロジーとクリエイティビティを同時に受け入れる人々だというのがその理由です。

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——Magic Leapの販売状況が芳しくないという報道もありましたが、実際にはどうなのでしょうか。また、今後の販売戦略について聞かせてください。

 我々は販売台数などの数字は全く公表していませんので、その報道については全く関知していません。ただ、米国内では100を超える企業が実証実験を進めており、すでに実証から大規模導入へと進んでいる状況です。企業によっては5台から10台ほど、より大規模な企業では数百台のMagic Leap 1を導入しています。この状況はMagic Leap 2によってさらに拡大することを我々は期待しています。

 我々も1つの世代で製品の販売台数が増えるとは思っていません。第1世代のMagic Leap 1、その次の2があり、それに続く機種が出てくることで広がっていくでしょう。現在我々がお付き合いしている企業は俗に言われる「フォーチュン1000」と呼ばれる米国のトップ企業で、その企業の方々にまず使い方を勉強してもらっているところです。その使い方が分かった段階で、次はよりスケールアップしていくというのが我々のビジネスプランです。

「HoloLens」とは“空間の考え方”が大きく異なる

——ところで、MRヘッドセットには米Microsoftの「HoloLens」などもあります。これに対する違い、強みはどこにあるのでしょうか。

 まず、第1世代のHoloLensはすべての面においてMagic Leap 1に及ばないものでした。第2世代のHoloLens 2になってようやくMagic Leap 1に近付きましたが、2倍近くの重さがあります(Magic Leap 1 Lightwearは316gなのに対し、HoloLens 2は566g)。

Microsoftの「HoloLens 2」
Microsoftの「HoloLens 2」

 我々は強力なグラフィックプロセッサを搭載し、HoloLensとは異なる視角化技術を用いています。最も重要な違いは、我々が短距離から中距離、遠距離まで見通せる特殊な光学系を採用していることです。

 ここで「ボリューム」の概念を紹介したいと思います。ボリュームというのはここから見ているゾーンが単にある1つの点で終わるのではなく、距離があり、空間の中に体積があるということです。そのため、システムは14.6インチから無限遠まで収容できるように設計されています。

 ほかのデバイスは空間内の特定のゾーンに向けてデザインされており、1つの場所に単焦点のスクリーンがあるようなものです。そのため、近付いたり遠くまで進もうとする場合に制限がかかってしまいます。Magic Leap 2のボリュームはMagic Leap 1はもちろん、HoloLens 2をも超えるものになります。

 我々が重要視しているのは近距離や中距離だけでなく、空間全体を利用できるということです。それが、光学系がどのように影響するのかを正しく理解して実装している理由です。もしそれができなければ、利用者がストレスや緊張を感じ、装着し続けられなくなってしまいます。HoloLens 2を装着してみれば、彼らが言っている目的を自ら破っていることが分かると思います。

——HoloLensシリーズと比べて、光学系が大きく異なるということですね。装着性についてはいかがでしょうか。

 頭に荷重がかかると快適性が下がるため、我々は多くの重いパーツを(コードにつないで)ポケットに入れるスタイルにして、頭にかかる荷重を抑えました。HoloLensシリーズはコードレスですが、頭に大きな荷重がかかるため、動き回ったり頭を上下に動かしたりする際に特に首に負担がかかってしまいます。

Magic Leapでは、重いパーツをヘッドセットとは別のデバイス(写真左)に分け、ポケットに収納するスタイルを選んだ
Magic Leapでは、重いパーツをヘッドセットとは別のデバイス(写真左)に分け、ポケットに収納するスタイルを選んだ

 工場労働者が抱える大きな不満の1つが背中や首の痛みです。それなのに、さらに重いものを頭の上に載せるのはいいことではありません。私は生物医学エンジニアリング出身のため、首に負担をかけるのは得策ではないと考えました。Magic Leap 1をセパレートスタイルにしたのはそれが理由です。

 もう1つ重要なポイントとしては、こめかみから頭の後ろまで回り込む「Crown Temple」を作ることで、頭にかかる重さを平等に分配し、鼻にかかる重さを軽減しています。多くのMRギアは鼻に重さがかかるため着け心地が悪いのですが、それを周囲に分配することで利用者がストレスを感じないデザインになっています。

日本は「世界一の市場」になる可能性がある

——最後に、日本というマーケットをどのように評価しているのでしょうか。また、日本での今後の展開について教えてください。

 我々は日本市場は非常にエキサイティングだと感じています。テクノロジーやアニメ、SF、新しいものへの親和性が高いため、日本市場は空間コンピューティングの世界一の市場になる可能性があると考えています。

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 日本に展開する上で人々を正しく理解し、新しいインフラによる文化を作り出すという2つのステップが必要ですが、(Magic Leapと提携した)NTTドコモはすでに7000万人以上のユーザーに加えて、数多くのパートナー企業がおり、空間コンピューティングを5Gネットワークと組み合わせて普及させる上での本当に最高のパートナーだと思います。

 空間コンピューティングを普及させるのは、2030年までの10年程度のスパンで考えています。最初の5年は、空間コンピューティングを理解してもらう期間です。2025年からは、多くの既存のスクリーンが我々の空間コンピューティングに取って代わられていくのではないかと思います。例えばテレビやパソコン、スマートフォンが必要なくなり、すべてのものが目の前に欲しい時に現れる……。そんな環境を作っていくのが我々の夢です。

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