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MRヘッドセット「Magic Leap」が描く“解放”された世界--アボビッツCEO初来日インタビュー

藤井涼 (編集部) 安蔵靖志2020年02月07日 11時08分
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 いよいよ2020年春から商用化がスタートする次世代通信規格「5G」によって、注目を集めるテクノロジーの1つが、仮想世界と現実世界とを融合することで新しい体験を生み出す「MR(Mixed Reality:複合現実)」だ。

 そんな5Gに特に力を入れているNTTドコモが大金を投じたのが、米フロリダに本拠地を置くハードウェア企業のMagic Leap。ドコモは2019年4月にMagic Leapとの資本・業務提携に合意し、同社に対して約2.8億ドル(約300億円)もの大型出資を実施した。

右から、Magic Leap President & CEOのRony Abovitz氏と、同社Design SVPのNatsume Gary氏
右から、Magic Leap President & CEOのRony Abovitz氏と、同社Design SVPのNatsume Gary氏

 Magic Leapが開発・提供するMRヘッドセット「Magic Leap 1(旧名称:Magic Leap One)」や、現在開発中の次世代モデル「Magic Leap 2」によって、同社はどのような世界を実現しようとしているのか。米Microsoftが手がけるMRヘッドセット「HoloLens」シリーズとの違いなども含めて、1月に初来日したMagic LeapのPresident & CEOであるRony Abovitz(ロニー・アボビッツ)氏に話を聞いた。

どこでも誰でも使うには「VR」ではなく「MR」が必須

——まずは、Magic Leapを開発するに至った経緯や、今後どういった世界を実現していきたいと考えているのか、そのビジョンをお聞かせください。

 私はMagic Leapを立ち上げる前には、医療ロボットを開発するMAKO Surgical Corp.を経営していたのですが、ある夜に未来のコンピューティングとして思い浮かべたのがMagic Leapでした。現在のようにスマートフォンやノートPCに閉じ込められている状況から解放され、どこにでも存在する世界。我々はこれを「Magicverse(マジックバース)」と名付けました。

 2013年に作ったプロトタイプはテーブルの半分くらいの大きさで、数ポンド(1ポンド=約450g)もありましたが、数年かけて小型化していきMagic Leap 1ができあがりました。現在はさらに小型のMagic Leap 2を開発中です。できる限り小さくして、この新しいコンピューティングを多くの人に体験してもらえるようにしたいです。

MRヘッドセット「Magic Leap 1」
MRヘッドセット「Magic Leap 1」

 今後はこれから10年かけて、より小型化し、よりパフォーマンスの高いものにしていきます。ビジョンとしては空気のようにそこら中にコンピューティングがある世界を作り上げたいと考えており、それを大きく後押しするのが5Gネットワークだと思っています。

——Facebook傘下のOculusなどはVR(Virtual Reality)の路線を進んでいますが、Magic Leapが現実世界とミックスしていくMRのアプローチを取っている狙いはどこにあるのでしょうか。

 Magic Leapの最終的な目標は毎日、1日中、どこでも、誰でも使えるようにすることです。朝目覚めて、人々と交流し、仕事をしたり、コーヒーショップやレストラン、公園に行ったり、いつでもどこでもです。

 それらのことと(仮想空間での作業を)同時に行うためには現実世界が見えなければなりませんが、自分の世界に閉じ込められてしまうVRではそれができません。現実の世界に触れながら、必要な時だけコンピューティングを導入するためには、MRでなければならないのです。

 Magic Leapが実現する「Spatial Computing(空間コンピューティング)」なら、完全に自分の作業の中だけに入り込むことができますし、そこから出て皆さんと交流することもできる。その両方を兼ね備えていることがMagic Leapの強みです。

——(インタビューに先立ち)スマートシティを3Dで閲覧できる「Smart City」や、部屋の中が海の世界へと変わる「Under Sea」のデモを体験させていただきましたが、これらのコンテンツは複数人で同時に見ることもできるのでしょうか。

 もちろんできます。また、2020年の第1四半期には、何人もの人達がMagic Leapで同じコンテンツを見られるだけでなく、スマートフォンやタブレット、そのほかのXRデバイスでも、コンテンツを同時に見ることができるデベロッパー向けツールをリリースします。全員がMagic Leapを使わなくても、同じコンテンツを同じロケーションで見られるようになります。

——今後よりデバイスが小型・軽量化して価格も下がってくると、誰もがMRの世界を体験できるようになりそうです。

 その通りです。スマートフォンでもテレビでも、時代を追うごとにどんどん小さくなり、パフォーマンスが上がっています。それと同じように我々の製品もより小さく、そして高性能なものになっていきます。価格は多くの人に買っていただくことで下がりますし、そうするればさらに多くの方に使っていただけることになるでしょう。

 私が医療ロボットの開発に携わっていたこともあり、我々は人間生理学に合ったテクノロジーと体験を実現することを重視しています。人の体に合わせて調整されたものでないと人は拒絶反応を示すため、Magic Leapのパーツのほとんどをゼロから作り上げました。

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