2019年3〜5月、大麻取締法違反の疑いで沖縄県内の高校生など未成年が10人が相次いで逮捕される事件が起きた。高校生らはSNSで購入・販売などをしていたという。最近、このように学生が大麻などの薬物に手を出す例が増えている。
警察庁によると、覚せい剤による検挙数は減っている一方、大麻による検挙数は増加傾向にあり、2014年から2018年で約2倍に増えている状態だ。
大麻などの薬物は、TwitterなどのSNSで気軽に取引されており、10〜20代の若者の検挙数も増加している。若者を取り巻く薬物のリスクと実態について解説したい。
インターネット上には、「大麻は他の薬物より安全で害がない」「依存にならずいつでもやめられる」「海外では合法化されており安全」という評判があふれている。そのため、若者たちは警戒心が薄くなり、手を出しやすくなっている面があるようだ。
しかし実際は、脳などの中枢神経に作用して依存状態となったり、精神疾患や呼吸疾患などにつながるリスクもある。大麻取締法違反により、大麻の所持・譲渡・譲受は5年以下の懲役、営利目的であれば7年以下の懲役および200万円以下の罰金などにつながることは言うまでもない。
「大麻は海外の映画や音楽シーンに登場していて、おしゃれとかかっこいいイメージ」とある大学生から聞いたことがある。「禁止されているのは日本だけで害がない、大麻は合法とネットに書いてあった。機会があればちょっとやってみたい気がする」。おしゃれなイメージと安全で依存しないという誤解から、安易に手を出してしまう若者が多いというわけだ。
大麻などの薬物は、TwitterなどのSNS上で気軽に売買されている実態がある。たとえば、次のようなツイートが多数投稿されていることをご存知だろうか。
「都内で極上アイス配達します」「大阪で調子いい野菜手押ししてます」「野菜、紙、リキッドあります」ーー。中には購入希望者が売ってくれる人を募集している例、「#裏バイト」投稿で受け渡しをするバイトを募集している例もある。
その多くには「0.5=23000」「5ml×3=85000」などの量と販売金額らしきものもついており、大麻や覚醒剤らしき写真が堂々と添付されているものも目立つ。
「テレグラム待ってます。IDは〜」とテレグラムでの連絡を条件にしているものが多いのも特徴だ。無料通信アプリ「テレグラム」は、暗号化技術を使うことで通信内容を保護し、消去後の復元が困難とされ、暴力団関係者や特殊詐欺グループなど犯罪に関する連絡手段として利用されることが多い。
前述の投稿に含まれる単語のほとんどは、薬物関係の隠語だ。「#野菜」は大麻、「#アイス」は覚醒剤を意味する。大麻はもともと「葉っぱ」とか「草」などと言われており、そこから若者に親近感をもたせる「野菜」という隠語が使われるようになったと考えられる。「#手押し」とは対面で直接取引をするという意味であり、堂々と取引が行われているというわけだ。
検索を避けるために、薬物名や単価などを画像にして添付している例も多く、あまりに堂々とオープンで誰でも見られるTwitter上に投稿されていることに驚かされる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」