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10代に人気の「#恋垢」って何?--Twitterやインスタに見る最新の恋愛事情

 TwitterやInstagramで「#恋垢」が人気だ。恋垢とは、その名の通り恋愛系のアカウントではあるが、カップル同士でIDやパスワードを共有して運営するいわゆる「カップル垢」とは大きく異なる。

 カップル垢とは、カップル2人のプロフィールといつから付き合っているかを明記し、それぞれが名乗った上で投稿するカップルの記録だ。カップル垢同士でつながり、別れた後は黒いアイコンになることでも知られている。

 「#恋垢」を知るためには、TwitterやInstagramで検索するとすぐに分かるだろう。TwitterだけでなくInstagramでも文字がとても多いのが特徴だ。今回は「#恋垢」について見ていきたい。

苦しい恋心をポエムのように綴る「#恋垢」

 10代はTwitterやInstagramを目的や用途ごとに複数のアカウントで使い分けることが前提となっている。

 恋垢とは、スバリ恋心をひたすら綴る専用のアカウントのことだ。カップル垢とは違い、10代女子が好きな相手のことを思って恋心をポエムのようにつぶやいていることが多い。付き合っていても多少なりとも片思いの部分があることも多く、主に相手の好きなこと、自分の苦しく切ない恋心、相手とのやり取りなどを投稿している。

 やはりカップル垢や勉強垢などと同様、「#恋垢さんと繋がりたい」などのハッシュタグで、恋垢同士でフォローし合い、交流していることが多い。

InstagramやTwitterで「#恋垢」「#恋垢さんと繋がりたい」などで検索した結果
InstagramやTwitterで「#恋垢」「#恋垢さんと繋がりたい」などで検索した結果

 Instagramでの「#恋垢」投稿は、いわゆるインスタ映えからはかなり遠く、完全に自分の世界だ。相手への思いを文字だけの画像にして掲載しているのだ。Twitterにも共通するが、特徴は10代のアカウントなのに極端に自撮り写真が少ないこと。名前も仮名のことが多く、イラストアイコンなどを使っていることが多くなっている。

 ある女子高生は、「彼氏ができたら本当はカップル垢に憧れている」と言う。「でも、うまくいかなかったら恋垢とか病み垢とかやりそうかも。思いつめる方だし…」とつぶやいていた。

「恋垢プロフィール帳」で求める心の同志

 恋垢には、「恋垢プロフィール帳」が掲載されていることが多い。恋垢プロフィール帳とは、他の恋垢と交流する際に、自己紹介的に使われているカードのことだ。テンプレートが用意されており、自分で該当するものにハートマークをつけるなどしてTwitterなどに投稿されている。プロフィール帳には、主に、自分の名前、年齢、片思いか両思いかなどの恋愛事情、彼氏との関係、付き合った長さや出会ったきっかけなどを明記していることが多い。

「恋垢プロフィール帳」
「恋垢プロフィール帳」

 「片思い」「両片思い」「惚気」「愚痴」「R18」「共同垢」という項目はほとんどに掲載されている。それぞれ、その恋愛が片思いか両思いか、投稿内容が惚気か愚痴か18禁なのか、カップル共同垢なのかを指す。周囲に対して、投稿内容についてあらかじめ断っているというわけだ。

 「呼びタメ」「ダル絡み」「DM」「LINE」「その他チャットアプリ」「Instagram」などは、フォロワーになったらどこまで絡みOKかを指す。「呼びタメ」とは呼び捨てでタメ口のこと、「ダル絡み」とは用事なくくだらないことで話しかけること。そのほか、たとえばLINEに丸がついていたらLINE交換OKという意味になるというわけだ。

 また、「同棲」「結婚」「近距離」「中距離」「遠距離恋愛」という相手との関係性も明記されている。このあたりが同じである方が、お互いに理解し合えるということだろう。

 適度な距離を持ってお互いに恋愛相談に乗ったり、「わかる」「今まさにそれ」「恋って苦しいですね」と共感のコメントを送り合っている例は多い。勉強垢でも同じだが、彼女たちが心の同志を求めていることがよく伝わってくるだろう。

「#惚気垢」でハッピーツイート・投稿

Instagramの「#惚気垢」検索結果
Instagramの「#惚気垢」検索結果

 一方、恋愛垢の1つである「#惚気垢」は少々異なる。こちらは両思いの惚気(のろけ)投稿がメインのアカウントであり、切なさや苦しさはほとんど見えない。「#恋垢」とは違い、自撮り写真やカップル写真も多く投稿されている。

 惚気垢を作る理由は、「友だちには惚気られないから」「惚気話で幸せな気持ちになりたいから」ということらしい。「遠距離恋愛で苦しい気持ちもあるから」という子もいた。幸せな瞬間を写真や投稿にして残して、次に会えるときまで、その写真や投稿を見ながら頑張るのだという。

 ただし、惚気垢に関しては「頭がお花畑」「非常識」などネガティブに陰口を書き込まれていることも多いようだ。恋垢も惚気垢も自分の思いが中心となるので、カップル垢のように「別れました」と黒いアイコンになることはないようだが、代わりに「好きな人に好きな人ができたからこの恋垢は終わりです」などの切ないアカウントがあった。

 大人の皆さんが10代の恋垢や惚気垢を見ることで、過去の甘酸っぱい恋愛や青春を思い出せるかもしれない。興味がある方は覗いてみてはいかがだろうか。

 

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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