CESのまっただ中、例年ならAppleの次世代の製品に関するなんらかの噂が流れ、CESで話題を集める企業から紙面を奪っていくのが常だったが、2020年1月はそうした目立った動きもなかったようだ。
Apple自身もCESのプライバシーラウンドテーブルに参加し、そのプレゼンスを発揮したこともあるかもしれない。
1月7日に行われたこのセッションには、Appleからはグローバルプライバシー担当シニアディレクター、Jane Horvath氏が参加した。注目されたのは、Facebookのグローバルプライバシー&データポリシーチーム責任者、Erin Egan氏と対峙することだ。Facebookのプライバシー問題に関して、Appleは直接的ではないが批判的な立場を示し、Tim Cook CEOも「規制論者ではないが」と前置きをした上で、データ収集に関する法的な規制の必要性を示唆する場面もあった。
しかしHorvath氏はEgan氏やFacebookについて、直接的に批判することはなかった。久々にCESに登場したAppleへの質問がHorvath氏に集中していた印象だった。
Appleはプライバシーを価値としている。具体的には、iPhoneから顧客のデータを出さず、しかし機械学習処理や人工知能の恩恵に授かれるようにするため、チップレベルから準備に取り組んできた。その結果、Safariやマップアプリは、ログインによってデータをクラウドに集めなくても、端末の中の情報を活用して十分に賢くパーソナライズすることに成功している。
Apple自身がどうしているかについては十分説明しているが、例えばプライバシー問題が拡がったFacebookもiPhone上で動作するiOSアプリとしてApp Storeを通じて提供される。もちろんだからといってAppleが責任を取るべきとは思わないが、Appleがプライバシーに問題があったFacebookアプリをApp Storeで承認していることも事実であり、今後仕組みとしてユーザーのプライバシーを守る仕掛けを強化していかなければならない。
ただし、iOS 13になって、アプリが日常的に位置情報を使っていることをユーザーに通知で知らせる仕組みが搭載されると、しょっちゅうさまざまなアプリの位置情報利用が通知として報告され、それを認めるか否か選択させられる。使用しているアプリの数にもよるとは思うが、1日に1度以上も位置情報利用をするアプリについて通知が出てくるとなると、正直なところ「多すぎる」と感じているのは筆者だけではないはずだ。
チェックしてくれていることは頼もしいが、ユーザー体験として、もう少し精査した方が良いのではないか、と感じる。ただし、それだけ自分の位置情報が使われているということは十二分に理解することができた。ユーザー体験を犠牲にした荒療治にも見えるこの施策も、Appleとしては狙い通りだったのかもしれない。
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