VRとARの10年を振り返る--これまで装着してきたデバイスの歴史(前編) - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2019年12月26日 07時30分

 その後、2020年代のARとVRの先祖にあたる「Nintendo Wii」が登場した。もちろん、これは冗談ではない。人間の動作を読み取る「Wiiリモコン」や、「Wii Sports」などのゲームのアイデアは、今後も長年に渡って、繰り返し利用されることになるだろう。2019年に流行したVRゲーム「Beat Saber」を思い浮かべてほしい。テレビの前でWiiリモコンを振ることと、VRヘッドセットを装着してコントローラーを振ることに、本質的な違いがあるだろうか?

 2009年に注目されたのは、モーションを使ったゲームだった。「Wiiモーションプラス」のジャイロセンサーは、空間での動きをより正確に伝えた。またソニーは、その年のE3で「PlayStation Move」を発表してこの動きに追随し、Microsoftはさらに風変わりな取り組みである「Project Natal」を発表した。このプロジェクトは、まったくコントローラを必要とせず、代わりに赤外線の光点を投影して、複数のカメラで人の動作を追跡するという仕組みだった。このプロジェクトは、後に「Kinect」と呼ばれるようになった。

 米CNETでは、2010年末にPlayStation MoveとMicrosoft Kinectをレビューしている。ゲームの出来は今ひとつだったし、これらのハードウェアを使ってプレイするには、かなりの空間が必要だった(これは後のVRのホロデッキに関する課題の前触れだった)。当時は、このKinectの技術が、2015年に発売された「HoloLens」や、2016年に発表されたGoogleのAR技術「Tango」を利用したスマートフォンや、2017年に「iPhone X」に搭載された「Face ID」カメラで使われるセンサー技術の元になることは分かっていなかった。また、PlayStation Moveは、2016年にソニーが発売したVRヘッドセットのコントローラーに採用されることになる。

2011年:「ゲームウォーズ」

 2011年の初めには、筆者は任天堂の新しい携帯型ゲーム機「3DS」で遊んでいた。知っての通り、3DSには3Dメガネ不要の3Dディスプレイとモーションセンサーだけでなく、ARゲーム用のカードが付属していた。

 しかし、2011年のVR界における最大の出来事は、ヘッドセットではなく、ある本だった。Ernest Cline氏のSF小説「ゲームウォーズ」(訳注:原題は「Ready Player One」)は、VRに依存した未来を描いた、80年代のオタクが大喜びする要素がたくさん登場する、さまざまな要素の詰まったエンターテインメント作品で、予想外のベストセラーになった。この小説は、2011年8月にNew York Timesに掲載されたJanet Maslin氏の書評で、「ファンタジー文化に対する熱烈な愛がこもったファンタジー作品」と評されている。筆者はこの小説を読んで、その中に登場する多くのアイデアが、何十年も前のサイバーパンクの名作に登場したものであることに気づいた。しかしこの本は、2010年代最大のVR現象を生み出す、あるクリエイターの目にとまることになる。

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