VRがようやく現実的になったのは、2010年代も半ばになってからのことだった。それも、スマートフォンを使ったものだ。この年には、Oculusが開発者向けの最新のPC用VRヘッドセットをリリースしてから数日後に、FacebookがOculusを20億ドルという驚くべき価格で買収することに合意している。
一方Googleは、意外にもユーザーが自分で折って完成品を作る段ボール紙からVRをスタートさせた。
Google Glassの奇妙なデビューの1年後、同社は2014年の開発者向けカンファレンスで、「Google Cardboard」と名付けられた、段ボール紙を折って作る簡単なスマートフォンアクセサリーを発表した。あまりにも新鮮なローテク製品だった。この製品は、スマートフォン用の簡単な3D眼鏡の役割を果たした。見た目は安っぽい「Viewmaster」のようだったし、実現できるVR体験もそれほど高品質ではなかったが、過去にVRを経験したことがない人にとっては、十分によいものに見えた。これがコンサートや新聞で無料で配布され始めると、この10年間で一番の、技術者が集まるパーティで人気の記念品になった。Facebookが買収したハイエンドのOculusとは対照的に、Google Cardboardは金をかけなくてもVRを実現できることを示した。
一方、予想外の協力関係を結んだサムスンとOculusは、Oculus Riftが実現する数年後までの橋頭堡を確保するためのプロジェクトとして、最新の「Galaxy Note」に対応するVRゴーグルを作った。この「Gear VR」は2014年の末に発売され、Google Cardboardに比べると品質も素晴らしかった。筆者はこれをホリデーシーズンに自宅に持ち帰り、家族を楽しませた。
サムスンはその後数年間、Galaxyシリーズの販売促進にGear VRを利用した。Googleもこの流れに乗り、2016年に(Google Cardboardより良くなった)「Google Daydream」を発売している。
この年のVR関連ニュースは他にもあり、ソニーが「Project Morpheus」と呼ばれるVRヘッドセットを発表している。これは後の「PlayStation VR」だ。しかし当時は、その後突如登場したGoogle Cardbordや、スマートフォンによるVRの方に話題をさらわれてしまった。
後編に続く。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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