オムロンとスクウェア・エニックスは12月、オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス」を通じて「人のモチベーションを高めるAI」について共同研究を開始したことを発表した。
人のさまざまなバイタルデータから、人のモチベーションを高めるようなフィードバックを行うAIアルゴリズムを開発し、機械が人に飛躍的成長を促す技術の確立を目指す。
フォルフェウスは、オムロンが目指す「人と機械の融和」を実現するコア技術「センシング&コントロール+Think」の進化を体現するロボットとして、2013年に中国で初展示され、以来6年に渡って進化を遂げてきている。
ロボット本体のポイントは、特別なものではなくロボット、センサー、コントローラーなどすべてオムロンが販売する産業機器をベースに作っていることだ。
2019年に行われたCES 2019では、AIによるコーチング能力を強化した第5世代のフォルフェウスを展示した。さらに、CES 2020では、オムロンとスクウェア・エニックスの共同研究による技術を搭載した第6世代のフォルフェウスを発表し、出展する予定だ。
この2社が組んだ理由はなにか。また何を目指しているのかについてプレスイベントを開催し、説明した。
フォルフェウス開発リーダーを担当する、オムロン 技術・知財本部 研究開発センター 無線・組込研究室 主査の八瀬哲志氏は、「オムロンが考えている人と未来の関係性の根底にあるのは、機械にできることは機械に任せて、人間はより創造的な分野での活動を楽しむべきである、という創業者の哲学」と説明する。
人と機械の融和によって、機械が人の潜在能力を引き出し、人の成長曲線を変えられるのでないかという試みだ。
人に教えるには、機械自身が人よりも上手である必要がある。卓球は、上手い人では片道0.2秒~0.3秒の速い球が行き交うといい、そうした速い球をセンシングして返し、さらにその人の感情を考慮して個人の特性に合わせたインストラクションができるようにするためには、ハードとソフトの両面の進化が必要になる。
個々人のモチベーションを引き出すインストラクション技術の研究開発とは具体的にどういうものか。
「一般的にモチベーションを最大化するには、個人の能力とチャレンジ度合いが釣り合っている必要があると言われている。たとえば、困惑気味の人にはやさしい球を返す。退屈気味の人にはスマッシュのような厳しい球をロボットが打ち込むことで、いかにモチベーションを最大化するかをスクウェア・エニックスと追求していきたい」(八瀬氏)
役割は、オムロンがフォルフェウス使ったロボティクス・センシング技術を提供。両社は、その取得したセンシングデータをどのように使い、どのようにラリー計画を立てるとモチベーションを高められるかなどを、スクウェア・エニックスがゲームコンテンツを通じて開発してきた「メタAI」技術の知見を活用して検証する。
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