230ドル(日本では2万7980円)の「Echo Show」と149.99ドル(同1万7980円)の「Echo Plus」でZigBeeをサポートしていることを除けば、Amazonは、拡大するスマートホームデバイス市場に対応することにそれほど熱心ではありませんね。確かに、AlexaのオープンAPIは、Googleの制限的なアプローチに比べると、各企業がより簡単にAmazonのエコシステムを扱えるようにしています。でも、2019年におけるスマートホームの成否のカギは、未来への準備だと思います。また、Googleが提供する人気ツールの多様性(「Gmail」「Googleカレンダー」「Google検索」、Nest、YouTubeなど)を考えると、Googleの方が今後、スマートホームに関してより包括的なビジョンを構築する態勢ができているように思えます。
MP 両社のブランドいずれかと連携するデバイスは何千種類もありますが、Googleは未来に焦点を合わせたプラットフォームを構築していて、アップデートと統合をするたびに、そのプラットフォームを慎重に改善しています。スマートディスプレイのNestのインターフェースは、これまで以上に直観的になっていますね。スマートホームに住む人にとって実際に生活を楽にしてくれるのは、電球の操作が簡単になるといった細かいことなのです。
勝者:Google
DP プライバシーに関しては、GoogleもAmazonも模範的な例ではありませんね。どちらもユーザーが明示的にオプトアウトしない限り、音声記録の人間によるレビューを制限していませんでした。(中略)デバイスのプライバシーに関して言えば、カメラ搭載の最新のスマートディスプレイに、カメラ部分を隠せる物理的なカバーを取り付けたAmazonは賢明でした。Googleが、顔追跡機能を備えたNest Hub Maxにマイクとカメラをオフにできるボタンを搭載していますが、これではユーザーがただ企業を信頼するしかありません。Amazonのこの物理的なカバーは違います。
MP 今、企業がプライバシーを重視していることを宣伝するようになっていることは明らかです。例えば、Nest Hub Maxでは、音声や動画、写真を記録するとき、緑色のLEDが点灯します。物理的なカメラカバーを実装したAmazonは賢明でしたが、同社が買収した「Ring」のことも忘れてはなりません。Ringは、カメラ付きドアベルのブランドで、ユーザーの位置情報を警察と共有できるようにしたこと、非倫理的な顔認識技術の特許を出願したことで批判されました。
でも正直なところ、このカテゴリーに明確な「勝者」はいないと思いますよ。テクノロジー業界の巨大企業は、利益のためならばユーザーのプライバシーを危険にさらしてもかまわないという姿勢を一貫して見せてきたので、私たちには最大の敗者の名前を挙げることしかできません。
DP そうですね。敗者はわずかな差でGoogleだと思います。Amazonはユーザーの購入データに基づくターゲット広告の販売で利益を得ていますが、売上高の大部分を占めるのは、依然としてウェブサイトでの販売です。対照的に、Googleは基本的にデータへのアクセスに依存していて、企業がGmailの個人的な電子メールを読むことを許可したり、何百万人ものユーザーの健康データを収集したりしています。しかし、ここでの教訓は、テクノロジー企業がユーザーのことを一番に考えていると思ってはいけない、ということではないでしょうか。GoogleとAmazonのどちらの製品を購入するにせよ、カメラにカバーを付けて、音声データの収集からオプトアウトし、規約の細目を確認するようにしたいですね。
敗者:Google(ただし、本当の敗者は同社の利益のためにデータを利用されているすべてのユーザー)
それでは、2019年に総じて勝利を収めたのは、どちらだろうか。GoogleとAmazonがデジタルアシスタント分野の2大企業であるのには、理由がある。どちらも優れた強みを持っているということだ。しかし、Googleが未来のために準備をしているのに対し、Amazonは一貫して強力なデバイスを多数発表した。プライバシーの保護に関しても、Googleよりもわずかに、罪の意識があることを示していた。
勝者:Amazon
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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