遺品整理などを請け負う「オコマリ」を展開するmodecasが資金調達--キャパシティ4倍に

 遺品整理などを請け負うオンラインサービス「オコマリ」を展開するmodecas(モードキャス)は12月17日、第三者割当増資による資金調達を実施したと発表した。デジタルベースキャピタル、ファインドスターグループ、Skyland Venturesのほか、「小さなお葬式」を展開するユニクエスト創業者でナッシュ 代表取締役の田中智也氏、その他エンジェル投資家複数名を引受先とする。調達した資金は、コールセンターの採用強化とCRM導入などにあてる計画で、キャパシティを4倍に拡大するとしている。

左から、modecas CFOの垣屋美智子氏、代表取締役の齊藤祐輔氏、デジタルベースキャピタル 代表パートナーの桜井駿氏
左から、modecas CFOの垣屋美智子氏、代表取締役の齊藤祐輔氏、デジタルベースキャピタル 代表パートナーの桜井駿氏

 modecasは2015年に設立。代表取締役の齊藤祐輔氏が、画像素材サイトのピクスタで勤務後に立ち上げた。創業後は前職の経験をいかし、モデルのマッチングサイトや動画アプリの販売などを手がけていたが、2017年2月にオコマリの前身となる「遺品整理ドットコム」をスタートした。

 齊藤氏は「起業家の先輩に相談したところ、自分がやりきれる領域がいいとアドバイスされ、高齢者に関わる分野の仕事がやりたいなと。自分自身おじいちゃん子だったこともあるが、不用品の回収や遺品整理などは、どこに頼めばいいのか情報が少なく、適正価格もわからない。この分野において、安心かつ低価格で請け負ってくれるサービスを提供したかった」とサービス開始の背景を話す。

 オコマリは、遺品整理や退去清掃、害虫駆除などの”オコマリごと”をオンラインで一括解決できるサービス。電話やウェブサイトのフォームから申し込みすると、内容を確認した上で料金を確定。その後作業するという流れ。電話1本でオコマリごとを相談でき、経験豊富なスタッフを手配。作業終了後のアフターフォローまでを請け負う、一気通貫のシステムを特徴にしている。

 スタッフは、全国の清掃会社などと提携し、現在120~130社と契約。加入料はなく、作業に応じて手数料が発生する。「遺品整理や清掃などを担当する会社は全国に1万社以上ある。その多くが個人事業主で、スケールメリットは限られる。質を保ちたくても限界があり、顧客へのフォロー体制なども万全ではない。作業中に依頼の電話が入っても出られず、機会損失も生じている。そうした会社向けの課題も多く、これは単純なマッチングサービスではなく、もう一歩踏み込んだサービスが必要だと考えた」(齊藤氏)という。

 こうした会社側の課題を解決するために、集客からアフターフォローまでを一括で手がけるオコマリサービスを構築。齊藤氏は「お客様の相談や作業後のアフターフォローまで私たちが担当することで、現場では作業に集中してもらえる。そのためにも一気通貫のシステムが必要だった」とし、「このサービスにより、お客様には結果的に安さと安心感を提供できている」と続ける。

 今回の資金調達で体制強化を明らかにしているコールセンターもサービス内における重要なポイント。「社内ではインサイドセールスと呼んでおり、ここできちんと相談に乗ることで、お客様に安心感を与えられる。見積もり金額を作業に来るスタッフには聞きにくいというお客様もいらっしゃる中で、ここの部隊がサポートすることで成約にコミットできている」と大きな役割を担う。

 遺品整理や不用品回収が事業の主軸だったが、ここ最近は求められる領域が拡大しつつある。「木の伐採や害虫駆除など、関連サービスを希望する声が増えてきたため、その分野にも進出する。どこの会社よりも低価格で安心して頼めるサービスを目指す」と齊藤氏は今後を思い描く。2020年1月からは木の伐採サービスも始める。

 提携会社は、ウェブサイトや電話を使って探すなど、草の根的活動を続け、数を積み上げる。登録済みの会社が同業の会社に声をかけてくれる横のつながりも効果的だという。今後見据えるのは法人向けサービスの拡大だ。現在法人の利用数は全体の1割程度。「退去時のハウスクリーニングはもちろん、不用品の回収や木の伐採など、不動産管理会社が抱えるオコマリごとは多く、内容も多種多様。何か起こる度に依頼できる会社を探すケースも少なくない。ワンストップで請け負える環境を整えることで、法人向け需要を取り込みたい」と拡大を狙う。

 資金調達先であるデジタルベースキャピタル 代表パートナーの桜井駿氏は「遺品整理や清掃といった不動産管理は、物件を保有するオーナーや管理会社、そして入居者であるユーザーそれぞれが悩みを抱える領域。不動産管理や入居時の暮らしにおいて発生するあらゆるオコマリに対するソリューションは現状細かく分断しており、これらを一括解決することで、生活者の利便性向上はもちろん不動産価値の向上につながるものと考えている」とコメント。

 ナッシュ 代表取締役の田中智也氏も「企業、事業の存在意義は、社会問題の解決にあると強く信じている。インターネットを活用できる時代にあるからこそ、全国の消費者の皆様の困りごとを直接解決でいる。オコマリはまさにその消費者が抱える困りごとを全国で平等に解決する事を目的にした事業で、強く共感している。私の経験を元に支援させていただきたい」とした。

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