ケースも豊富なApple Watch Series 5、セルラーの必要性は?--Apple製品の選び方2019

 CNET Japanで2019年も「Appleニュース一気読み」を毎週連載し、新製品をレビューしてきた松村太郎がお届けするApple製品の選び方ガイドシリーズ。

 2019年も残すところ少し。クリスマスに向けて、デジタル製品を手に入れようとされている方も多いのではないだろうか。そこでお届けするのが、今回の「Appleホリデーガイド2019」。製品カテゴリごとの選び方をお届けする。

 iPhone編、第2回のMac編、第3回目のiPad編に続き、4回目はApple Watchだ。

 2019年モデルのApple Watchの概要と、気になるセルラーモデルの必要性、新しいチタニウムモデル、Hermesモデルを含めたケースの選び方、バンドのチョイスなどについて考えていこう。

 Apple Watchは2014年9月に発表され、2015年4月に発売された世界で最も売れているスマートウォッチだ。iPhoneとペアリングして利用するウェアラブルデバイスとして、毎年アップデートされており、2019年は「Apple Watch Series 5」がリリースされた。

 今回のApple Watch Series 5は、これまでApple Watchをためらっていた人、あるいはこれまで使ってきた人にとって、行動を起こすには十分の魅力が備わった製品となった。

Apple Watch Series 5
Apple Watch Series 5

腕時計の当たり前をやっと実現

 Apple Watch Series 5の前年、2018年にApple Watch Series 4となり、初めてのモデルチェンジをした。それまでのフォルムはそのままに、38mmが40mmに、42mmが44mmにサイズが拡大した。しかしそれまでのバンドは使い続けられる。バンドを固定する部分のサイズ、つまり横幅は変わっていないのだ。

 Apple Watch Series 4では、有機ELディスプレイが拡大され、またLTPO(低温ポリシリコン酸化物)と言われる新しいディスプレイ技術が用いられた。製造のしやすさや低消費電力など、モバイルデバイスのメリットが大きくなっている。

 LTPO化されたのは2018年からだが、2019年モデルのApple Watch Series 5では、「常時点灯ディスプレイ」という新しい機能が追加された。

常時点灯に対応する省電力化されたLTPO有機ELディスプレイ
常時点灯に対応する省電力化されたLTPO有機ELディスプレイ

 今までのApple Watchは、手首を返したり、画面に触れたり、ボタンを押すと、ディスプレイが点灯する仕組みだった。そのため時間を確認するときには、明示的に時計を見る動作が必要で、時間を気にする人のように映ることもあった。

 普通の腕時計は常に文字盤に時間が表示されているため、チラリと見れば何時だか分かるさりげなさがあった。Apple Watchを使っている人を見ると、時間を見る所作がいちいち大げさに見えて、自分も気をつけなければ、と反省する場面もよくあった。

 Apple Watch Series 5では、常に時間が表示された状態になっていることから、今までの腕時計のように、チラリと横目で見れば時間が分かる。それでいて、18時間というバッテリー持続時間を維持している。そのための工夫として、文字盤のデザインによっては、できるだけ点灯面積を減らす専用の文字盤デザインが用意される。

 実際、Apple Watch Series 4もカタログ値は18時間だったが、まだ常時点灯に対応していなかったこともあり、実利用では2017年のApple Watch Series 3までのモデルよりもバッテリー持続時間が長かった。Apple Watch Series 5になり、ちょうどカタログ値の近辺に落ち着いた、と言う印象だ。もちろん常時点灯機能はオフにできるため、バッテリー重視の使い方にも対応する。

Apple Watch使いこなしのコツ

 筆者はiPhoneは忘れても、Apple Watchは身につけている、という生活がここ数年続いている。Apple PayはSuicaも含めてApple Watchに設定し、日本では右手に装着して改札での利便性を高めているほどだ。

 Apple Watchはアクティビティトラッカーやワークアウトの記録に加え、iPhoneを取り出さずに通知を受けたり、ちょっとした検索をしたりするといった用途で、筆者の生活に組み込まれている。徒歩が多いこともあり、GPSに加えて電子コンパスを内蔵したため、iPhoneを取り出さずに目的地までのナビゲーションを手首の地図を確認しながら歩く機会が増えた。

iPhoneを取り出して歩き始める方向を確認しなくてもよくなった
iPhoneを取り出して歩き始める方向を確認しなくてもよくなった

 筆者のApple Watch活用の中で最も重要な機能は「声」だ。メッセージが届いて内容を手首で確認し、そのまま音声入力で返事をする。iMessageやFacebook Messengerへの返信はたいてい声で行っており、iPhoneを取り出さなくなった。

 歩きスマホに陥らないことはもちろんだが、音声入力でのメッセージの返信は、子育て中のお母さん・お父さんにも便利だと思う。子どもの前でスマホを出すと、どうしても画面を見たいとせがまれることになりがちだ。またベビーカーを押すと歩数がカウントされにくいが、ワークアウトでトラッキングすると、お散歩・お出かけの際のカロリー消費をきちんと記録できる。

 そして、Siriの活用である。Apple Watch Series 4からは、画面でのフィードバックのみだったSiriが喋るようになった。そのため、天気を聞いたり、四則計算をしたり、単位換算をしたりする場合でも声で話しかけて、あとは結果の読み上げを聞いて済ませられる。

 またwatchOSの進化の恩恵で、多少のウェブサイトならApple Watchでも表示できるようになった。言葉を尋ねればWikipediaの結果を返してくれるし、Wikipediaになければ検索結果を画面に出してくれる。例えば「Hey Siri, モーツアルトについて調べて」と言うと、Wikipediaから肖像画まで引っ張り出して表示し、概要部分までを時計で確認できる。

 声の活用は、Apple Watchを一歩踏み込んで利用する上で、ぜひ試したいポイントと言える。

セルラーモデルを契約するか?

 その一方で、セルラーモデルにするかどうかは悩ましい。個人的には「まだ」必要ないと感じる。

 Apple Watchのセルラーモデルを用意して大手キャリアで契約することで、Apple Watch単体でiPhoneと同じ電話番号の発着信とデータ通信を実現する。iPhoneとペアリングされていなくても、電話を受けたりApple Musicで音楽を聴いたりできる。

 諸外国では1000円程度の追加契約となるが、日本では300〜500円ほどの月額料金の追加で済むため、利用しやすい国といえる。

 もちろん、セルラーなしのモデルが選択できるのはアルミニウムケースモデルのみで、その他のモデルはすべてセルラー搭載となるのだが、契約するかどうかを考えると、よっぽどスマホを忘れがちでなければ、現段階で必要ないと考える。

 一方で、もちろんセルラー契約ならではのメリットもある。たとえばジョギングに出かけるときにスマートフォンを持ち歩きたくないが、音楽を聴きたい、かかってくる電話を受けたい、というようなケースには便利だ。

 ただし、Apple Watch自体に音楽を予めダウンロードしておけば、単体でのデータ通信をしなくても音楽は楽しめるし、チャージしないのであればApple Payを用いて電車やバスに乗ったり、コンビニで買い物もできる。

 「ジョギング中に通話」すること、単体でのナビゲーション、Suicaへのチャージさえ諦めれば、必ずしもセルラーモデルや契約が必要とは言えない。ジョギングであれば、ナビが必要な場所を急に走ることは少ないだろうし、Suicaチャージについても、コンビニであればチャージ不要のiDやQUICPayを利用すればよいからだ。

 セルラーモデル単体でのApple Watch活用の欠点は、バッテリー持続時間だ。iPhoneなしの単体では4時間程度と、大幅に使用時間が短くなってしまう。この時間がもっと延びてくると、家にiPhoneを忘れても1日仕事に行って帰ってこられる、といった安心感につながるかもしれない。

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