相次いだiPadシリーズの刷新、iPadOSの登場--Apple製品の選び方2019

 CNET Japanで2019年も「Appleニュース一気読み」を毎週連載し、新製品をレビューしてきた松村太郎がお届けするApple製品の選び方ガイドシリーズ。

 2019年も残すところ少し。クリスマスに向けて、デジタル製品を手に入れようとされている方も多いのではないだろうか。そこでお届けするのが、今回の「Appleホリデーガイド2019」。製品カテゴリごとの選び方をお届けする。

 iPhone編、第2回のMac編に続き、3回目はiPadだ。

 2019年のAppleは「iPadイヤー」だったと言える。iPadラインアップの相次ぐ刷新と、iPad向けに独自の進化の方向性を示したiPadOSの登場は、これまでの「iPhoneのサブセット的なタブレット」という位置づけを打ち破るには十分だった。

iPad Pro中心のモバイル

 この話をすると、「嘘だ」とは言われないまでも、「無理している」などとあまり信じてもらえないことも多いのだが、仕事の7割をiPadでやるようになった。

 出張を含む外出時は100%。先日のロサンゼルスやニューヨークへの出張でも、愛用している2018年モデルのiPad Pro 12.9インチだけを機内持ち込みの鞄に入れて、国内同様軽快に移動している。

2018年モデルのiPad Proシリーズ
2018年モデルのiPad Proシリーズ

 筆者がiPad Proに移行できた理由はiPadOSとアプリだ。

 まず原稿執筆には「Ulysses」を使う。これはMacで使い始めたMarkdown記法が利用できるテキストエディタで、記号だけで書式を設定しながら原稿を書き進めると、そのままMicrosoft WordやPDF、EPUB形式で書き出せる。

 iPad向けもほぼフル機能のUlyssesが利用できる。データはフォルダ構造や書き出しのテンプレートも含めてiCloudで同期され、MediumやWordPressなどのブログへの投稿にも対応するため、基本的には四六時中開きっぱなしのアプリとなった。

 また取材にはAppleの「メモ」、「Evernote」を利用する。これらもMacにもアプリがあり、データが自動的に共有される。また最近重宝しているのが、マイクから取り込んだ音で英語の文字起こしをしてくれる「Otter」だ。

 記事を作成するとき、写真の編集も必要になる。USB Type-Cポートには、2016年にMacBook Pro 13インチに乗り換えた際に手に入れた「TUNEWEAR ALMIGHTY DOCK C1」をそのままiPad Pro向けに流用して、SDカードなどからの写真やビデオの取り込みを行う。

 編集は、やはりMacとiPad双方にアプリが用意され、クラウドで同期してくれるAdobe Lightroom CCを用いる。2019年11月からPhotoshop CCもiPad向けに登場し、写真を用いた画像作成もiPadで取り組みやすくなった。同様に、ビデオ編集についてもAdobe Premiere Rushが使いやすい。

TUNEWEAR ALMIGHTY DOCK C1
TUNEWEAR ALMIGHTY DOCK C1

 しかしiPad Proから最も利用しているクリエイティブ系アプリは、Adobe Spark Postだ。テンプレートから手軽かつ自由度高く、バナーやSNS向けの画像を作ることができるアプリで、テンプレートが決まっているブログ向けの画像は常にSpark Postで作るようになった。残念ながらMac向けアプリはなく、ウェブからの利用のみとなるため、必然的にiPadを使うようになる。

 もっと一般的なMicrosoft Office(Word / Excel / PowerPoint)やApple iWork(Pages / Numbers / Keynote)といったアプリもMacとiPadで利用でき、クラウドでデータ同期もなされる。

 どちらの環境にもアプリがあり、クラウドに完全に対応してデータ連携がスムーズな状態でワークフローを組むことで、バッテリーの持ちが良く、軽く、タッチ操作ができ、セルラーモデルが選べるiPadをモバイルコンピュータとして選んで不便なく過ごすことができるのだ。

 また、iPadOS 13が配信されて個人的に最も大きかったのがSafariの進化だ。これまでiPadのブラウザとして振る舞っていたが、iPadOSからは「Mac」として振る舞うようになり、ウェブを用いて作業を行うGoogleドキュメントやSquarespace、ノートなどの編集のためにMacを開かなくてよくなった。

コンピュータを代替するiPad Air

 2019年、iPad Air(第3世代)とiPad mini(第5世代)、またiPad(第7世代)が投入されたiPadラインアップ。iPad Proは2018年モデルが据え置かれたことから、2019年はエントリーモデルの年次刷新と、遅れていたミドルレンジのモデルチェンジが行われたことになる。

 iPad Air(税別:5万4800円~)とiPad mini(4万5800円~)はA12 Bionicプロセッサを搭載し、ビデオ編集、機械学習処理、AR、3Dグラフィックスなどのパーフォマンスを大幅に高めた。またiPad Airと第7世代iPadはいずれもSmart Keyboardに新たに対応し、特にiPad(3万4800円~)はわざわざボディサイズを拡大させ、10.2インチディスプレイを備えた。

iPad Air
iPad Air

 こうして、iPad mini以外の全てのiPadはSmart Keyboardをサポートし、また現在発売されている全てのiPadがApple Pencilをサポートした。

 10〜11インチモデルのiPadの選択については、比較的明快だ。ほとんどの人は、iPad Airを選択することで、現在考えうるiPad体験を余すことなく、また長い期間体験することができるだろう。

 もしビデオ編集やグラフィックスなど、より高い処理能力をもとめるならA12X Bionicチップを搭載するiPad Proシリーズを選択しても良いが、iPad Air(5万4800円~)と11インチiPad Pro(8万9800円~)の価格差は3万5000円と大きくなっている点で、iPad Proが選びにくい状況と言える。

 一方、iPad(第7世代)は、3万4800円から10.2インチに拡大されたディスプレイを備えるタブレットが手に入る。もちろんChromebookの2万円前後のモデルに比べればまだ高いし、キーボードもペンシルもオプション扱いだ。しかしiPadはバッテリーの持ちが良く、壊れにくく、またアプリが膨大に充実している、他のプラットホームには見られないメリットがたくさんある。

 iPadにはA10 Fusionプロセッサが搭載されており、マルチタスク強化のため、メモリは1GBから3GBに増強されている。それでもこの冬にiPadを手に入れるなら、2世代新しいチップが搭載されるiPad Airが最もふさわしいだろう。

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