ロンドン交通局(TfL)は現地時間11月25日、Uberが市内で営業を継続するための免許更新の申請を却下した。安全面の懸念が理由だ。最も問題視されたのは、別人になりすましたドライバーが無防備な乗客を乗せていることだった。
ロンドン交通局によれば、不正なドライバーが乗客を乗せたケースが、少なくとも1万4000回あったという。その手口は例えば次のようなものだ。複数のドライバーが1つのアカウントを共有する。そして、そのうちの誰かがドライバーとなる際に、都度自分の写真をアップロードして乗客を信用させる。このような承認されていないドライバーは、身元審査を経て許可を受け、保険にも加入しているよう見せかけることができるが、実際には、そうではないケースが見受けられるという。
Uberのドライバーによる不正は、ロンドンだけの問題ではないことも明らかになっている。
不正なドライバー(中には重罪で有罪判決を受けた者もいる)がUberのアプリに登録していた例は、過去にサンフランシスコ、ヒューストン、ボストンといった都市でも見つかっている。一部のドライバーが他人の運転免許証番号や社会保障番号を使って、配車サービスに登録していたという例も報じられていた。また、偽名を使ったり、インターネットで偽の個人情報を購入したりした者もいたとされる。
人気ブログ「The Rideshare Guy」を運営し、自らも配車サービスのドライバーとして働くHarry Campbell氏は、「悪意を持つ者にとって、Uberの登録プロセスを欺くのは難しいことではない。このプロセスは、ドライバーができるだけ速く、面倒な手続きをせずに登録できるようになっているからだ」と述べている。「Uberは時折、『セルフィーチェック』を利用してドライバーの身元確認をしているが、この方式がどれほど正確に機能しているのかは不明だ」とCampbell氏は指摘した。
UberやLyftは、乗車の安全性を向上する取り組みが不十分だとして非難されてきた。この数年間で多くの乗客やドライバーが乗車中に暴力を受けたとされる。乗客がドライバーから強姦や誘拐、痴漢行為を受けたとして、両社を相手取る複数の訴訟が提起されている。
こうした問題に対処するため、Uberは間断なくアプリに新たな安全機能を追加してきた。緊急用の911ボタンを導入したほか、乗客の乗降場所を匿名化するとともに、乗客が移動情報を友人や家族と簡単に共有できるようにした。Uberで北欧および東欧地域担当ゼネラルマネージャーを務めるJamie Heywood氏によると、同社はロンドンでの乗車に安全基準を設けたという。
Heywood氏は電子メールで寄せたコメントの中で、「当社はここ2カ月かけてロンドンのすべてのドライバーを調査し、プロセスをさらに強化した」と述べた。「われわれは、ドライバーの身元を確認する強固なシステムとチェック機能を備えている。また近く、新たな顔照合プロセスを導入する予定で、これはロンドンのタクシーや貸切自動車の業界で初の試みとなるはずだ」(Heywood氏)
Uberは、詐欺や不正行為を防ぐために技術やプロセスを常にアップデートしていると述べた。不正検出を手がける業者と協力して人力で調査するだけでなく、自動化された機械学習システムも利用して、不正行為を示す600種類以上のシグナルを分析しているという。
しかし、不正行為の手口は絶えず進化する傾向にある。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」