「サムスンとファーウェイの場合、大画面をどうやって有効に使うかを考えなければならない。Razrを開いた状態のインターフェースなら何の問題もない。普通の『Android』の画面だからだ」。こう話すのは、IHS MarkitのアナリストGerrit Schneemann氏だ。
折りたたみ式スマートフォンの販売台数は、2019年のうちは100万台を「大きく下回る」見込みだが、2020年には400万台あたりまで伸びるだろう、とSchneemann氏は予測している。
「この形態は、まだ歴史の始まりにすぎない。画面の品質や性能、ユーザーインターフェース、開発者のサポートなど初代の製品に特有の問題はいろいろあるが、それも解決されていくはずだ」(Schneemann氏)
Motorolaは違うアプローチをとった。スマートフォンとタブレットのハイブリッド型ではなく、クラムシェル型の携帯電話とスマートフォンを組み合わせた形を作ったのだ。コンパクトなデザインが消費者に歓迎され、サムスンやファーウェイの折りたたみ式より耐久性も高いと評価されることを同社は期待している。
Motorolaは、Razrのために独自の「zero gap hinge(隙間のないヒンジ)」デザインを開発した。開いたときには画面が平らになり、それでいてきれいに閉じる。本体は、ディスプレイを内側に折り曲げる分のスペースが設けられているため、たたんだ状態は真っ平らになるのではなく、しずく形になる。5層構造になっている画面の1層は、360ミクロン厚のステンレススチール製で、ディスプレイを強化している。米CNETのJessica Dolcourt記者が指摘しているように、Razrはピタッと閉まる。ディスプレイの真ん中でヒンジ周辺に大きい隙間ができてしまうサムスンのGalaxy Foldにはできないポイントだ。
「このデバイスの失敗例も、その原因も研究してきた」。Motorolaのイノベーションおよびアーキテクチャ担当ディレクター兼プリンシパルエンジニアを務めるTom Gitzinger氏は、米CNETにこう語っている。
Galaxy Foldを、未来を垣間見せる端末として高く評価するレビューもあるが、サムスンの最初のモデルはプロトタイプの域を出ていないという指摘もある。実際、消費者の手に渡せる完成品と言える仕上げには至っていなかった。しかし、MotorolaのRazrはもっと完成度が高いデバイスのように感じられるという声も、13日の発表会では聞かれた。米CNETのDolcourt記者はRazrについて、「今のところ最高のデザインで、最もよく考え抜かれた折りたたみ式スマートフォン」と評している。
サムスンも似たようなデザインを検討中で、10月の開発者会議で少しだけ披露した。また、TCLも2019年2月のMWCで、折り曲げ可能なスマートフォンのプロトタイプを発表している。
それらが実際に姿を現すまで、クラムシェル型の折りたたみ式スマートフォンは、Motorolaの独占状態だ。
「ほとんどのスマートフォンが同じようなデザインになっているなかで、このクラムシェル型の形状は新鮮な変化であり、月並みでないものを求める消費者には歓迎されるだろう」と、Kantarの消費者インサイト担当ディレクター、Dominic Sunnebo氏は指摘する。
もっとも、ダウンタウン・ロサンゼルスの一部と同じく、MotorolaのRazrによる復活も、まだ今は進行中というところだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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