アップルはMacBook Proの15インチ版を16インチへと大型化。シャシー設計を一新することで高性能化を図った。試用してみると、実機のパフォーマンスは極めて高く、また放熱設計の良さもあって高負荷の処理でも熱やファンノイズなどによる不快さは最小限に抑えられている。
また一部に否定的意見のあったバタフライ構造キーボードが、デスクトップ向けのMagic Keyboardと同様のシザース構造へと改められたことで、キーストロークが0.55mmから1mmへと増加。本体全体では0.7mm厚くなったものの、以前のMacBook Proに近い、しっかりとしたストローク感のあるキーボードに仕上がっている。
堅実なアップデートという印象だが、Windows搭載機を含めノートPCを選ぶ上での基準が変化する予感をテストしながら感じている。それは古くて新しい評価の基準。”熱への対処”こそが、ノートPCの性能を決める要素として全面に出てくる予兆だ。
16インチのMacBook Proの説明を受け、最初に感じたのは適応範囲の広さだ。日本では15インチモデルの同等クラスモデルよりもやや安価になった16インチMacBook Proだが、米国では同価格。
16インチMacBook Pro 2.6GHz動作の第9世代Intel Core i7(6コア)が 標準構成(メモリ16Gバイト、512GバイトSSD)で24万8800円、2.3GHz動作の第9世代Intel Core i9(8コア搭載)が標準モデル構成(メモリ16Gバイト、1TバイトSSD)で28万8800円だ(いずれも税別価格)。
ハードウェアの構成が異なるとはいえ、上位モデルと同じプロセッサを搭載するWindows搭載機は30万円を超えるものが多く、AMD Radeon Pro 5000Mシリーズと4GバイトのGDDR6メモリを搭載するするグラフィクスシステムを搭載していることを考え合わせれば、メーカー間の競争原理が働きやすいWindows搭載機と比べても購入しやすい価格帯だ。
しかし、そこからオプションを追加していくと、最終的には60万円台半ばまでスペックと価格が上昇していく。搭載できるメインメモリ容量に限っても、16Gバイトから最大64Gバイトまで選べ、SSDも最大8Tバイト、グラフィクスメモリも2倍の8Gバイトまで増量が可能だ。
他メーカーを見ても、ここまで幅広い構成幅を選べる製品は見当たらない。ひとつのモデルでここまで幅広い性能をカバーするには、高性能なコンポーネントで固めた上で、さらに負荷の高い処理をさせても熱処理が適切に行われなければならない。
従来の15インチモデル(幅349.3mm×奥行き240.7mm×厚さ15.5mm)に比べ、本体サイズは幅が8.6mm、奥行きは5.2mm、厚みは0.7mm増加し、重量も170g増の2Kgちょうど。つまり大型化しているのだが、それ故に余裕が生まれ、より多くの機能、高い性能を詰め込むことができたわけだ。
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