16インチMacBook Proは、モバイル向けプロセッサでもっとも高性能なモデルを搭載する上、高性能な独立型GPU、さらに幅広いメモリやSSDなどのオプションが用意されており、熱設計の余裕が商品力に直結してきた。
しかし、熱設計の良し悪しで性能や快適性に、製品ごとの大きな差が生まれていた20年以上前とは異なり、現代の一般的なノートPCは(不快なほど熱くなるなどの問題がなければ)スペック表の数字を満たせば、どれも大差ない……と思っている方もいるかもしれない。
しかし今後は熱設計の良し悪しが、もっと直接的に製品の魅力へとつながる時代がやってくるだろう。CPUやGPUを構成する処理コアの数が、薄型PC向けプロセッサでも増加してきているからだ。
インテルはメーカーやエンスージアスト向けに、パフォーマンスを最適化する「Intel Adaptix Technologies」という技術を提供している。以前はメーカーが手を出しにくかった領域にも踏み込んでパフォーマンス・チューニングできるようになってきているため、ノウハウの蓄積が進めばシャシー設計ごと、あるいは設計ポリシーや利用目的に合わせた製品の作り込みが進むだろう。
たとえば1年前に発表されたMacBook Airは、予想を覆してUプロセッサではなく、Yプロセッサを搭載していた。Yプロセッサでも上位モデルならば、十分なパフォーマンスとはいえ、13.3インチの画面サイズを考えればUプロセッサの搭載も可能だったのではないだろうか。
しかし、メーカー自身がプロセッサのパフォーマンス最適化を追い込む自由度が高くなっていき、またコア数も増加していくことを前提とするなら、MacBook AirのサイズにあえてYプロセッサを採用し、性能を追い込んでいくという選択肢も生まれる。
ここではMacで話を進めたが、同じプロセッサを積んでいても、トータルの体験やパフォーマンスに有意な差を感じるケースは増えていくのではないだろうか。
さて、16インチMacBook Proの話に戻ろう。価格は意外にリーズナブルだ。MacBook ProにはHDDを追加で内蔵できず、SDカードメモリやUSB Type-Aコネクタなどもないが、Thunderboltの普及で4つのUSB Type-Cポートがあれば特に困ることはない。
多くの高性能な15インチを超えるPCが、バッテリ駆動時間をさほど重視していないのに対し本機は11時間。2キロの重量とともに、本当に”出先で使えるハイパフォーマンス”でもある。
クリエイターのツールとしてオプション構成の幅が広いこととあわせ、クリエイター向けのPCとしては突き抜けた存在になったと思うが、プロクリエイター以外にも魅力的な部分は多い。
ただし前述したように標準構成ならば、同クラスの製品としてリーズナブル。上位設定のモデルでも29万円を切る。熱設計の余裕からくる快適性、驚くほど良くなった音質、以前からの特徴であるよく調整された色再現性も輝度も高いディスプレイなども考えると「可搬性の高いデスクトップPC」として使うのもアリだろう。
たとえば2019年から日本語入力が大幅に改善したiPad Proの12.9インチモデルをモバイル環境で使い、自宅では16インチMacBook Pro。ケースバイケースでMacBook Proを持ち出すといった利用シナリオも考えられる(Sidecar機能を使うことでiPadをセカンドディスプレイにすることも可能だ)。
キーボードの改善(タッチだけでなく打鍵音も大幅に小さくなった)も併せ、クリエイター以外は13インチモデルとの比較で、大いに悩むことになるかもしれない。
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