確かに、これらの新しいサービスの提供が開始される中で、Netflixがこれまでのような高い会員増加率を維持するのは困難になるだろう。特に、こうしたライバルの多くが短期間で大きな競争力を持つようになる米国において、Netflixはすでに成長を維持するのに苦労している。2019年第2四半期には、米国の会員数が初めて減少に転じた。
しかし、Netflixの会員数の増加に固執しすぎると、同社が有利なスタートを切ったことを忘れてしまう。ライバルたちがNetflixに追いつこうとしのぎを削る一方で、Hastings氏は、Netflixがそれらのライバルの戦略から何を学ぶべきなのかを観察する準備ができているようだ。
Netflixは多種多様な作品を網羅しているが、同社のコンテンツは概ね、通常のテレビで実証されてきたフォーマットを堅持している。広告なしのストリーミングには柔軟性があるので、Netflixのオリジナルコンテンツは、標準的なテレビ番組で物語が展開するペースに従う必要がない。だが、Netflixのシリーズや映画、特別番組は概ね標準的なテレビ番組と非常によく似ている。
とはいえ、Netflixの多数の番組の中には、標準的なフォーマットを打ち破ることを試みているタイトルもいくつかある。
この2年間、Netflixがインタラクティブなコンテンツ(「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」など)を試していることは、多くの人がご存知のはずだ。Netflixは、テレビシリーズや映画で最もよく知られているが、それらと異なるフォーマットの実験にもすでに取り組んでいるのである。
あまり知られていないが、Netflixをより短いフォーマットの動画の分野に近づけるシリーズもある。「スペシャル 理想の人生」は、脳性麻痺を患う若いゲイの男性に関するコメディーで、1つのエピソードの長さは平均14分だ。「ラブ、デス&ロボット」は、さまざまな短編アニメで構成されるシリーズで、最短で6分のエピソードもある。
一方、今後登場するNetflixのライバルたちは、Netflixがまだそれほど試していない種類の番組を引っ提げて、サービスの提供を開始するようだ。
例えば、Disney+は2020年、「アナと雪の女王2」をストリーミング配信するだけでなく、同作品の制作についてのドキュメンタリーシリーズもリリースする予定だ。HBO Maxは、HBOのミニシリーズ「チェルノブイリ」などのタイトルに焦点を当てたダウンロード可能なポッドキャストも提供するという。さらに、HBO Maxアプリでは、SNSでインフルエンサーが行っているようなスタイルの垂直的な動画投稿も試す計画で、視聴すべきコンテンツをタレントがお薦めする。同社は、「エクソシスト」がお気に入りの映画の1つである理由について俳優のZac Efronが語る、という例を挙げている。
Netflixは、レトロな雰囲気のSFヒットシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」とラッパーのオーディション番組「リズム+フロー」で「トーキング・デッド」風のアフターショーを試したが、サービスの一環として、Netflix内で舞台裏を見せる番組を作ることはそれほどしてこなかった。実際に制作した場合でも、Netflixは通常、YouTubeで公開する。
HBO Maxはライブ番組も試すとしている。これは、Netflixが長年避けてきたことだ。
これらのサービスやそのほかのサービスが開始され、最大のライバルに追いつこうとする競争が始まる中、Hastings氏はすでにNetflixの戦略を明かしていた。「われわれは学習し、観察する。そして、彼らを注視する」(同氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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