KDDIは11月2日、2020年3月期第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比4.2%増の2兆5645億円、営業利益は1.4%減の5534億円と、前四半期に続いて増収減益の決算となった。ただし、同日に実施された決算説明会において、同社代表取締役社長の高橋誠氏は、第2四半期単独の業績で見れば営業利益は増益に反転したと説明。通期目標に向けては順調な進捗だとしている。
その理由について高橋氏は、「下期には電気通信事業法の改正や、楽天モバイルの参入などがあることから、第2四半期は全社を挙げて増益を達成するべくコスト削減の努力をしてきた」と答えている。3Gから4Gへの移行促進のため端末販売コストが増えているが、ライフデザイン領域やビジネスセグメントなどの成長領域が、第1四半期より多くの利益を上げたことも増益には貢献しているという。
実際、ライフデザイン領域は売上高が前年同期比38.4%増の5840億円、営業利益が前年同期比27.9%増の870億円。ビジネスセグメントは売上高が前年同期比4.3%増の4510億円、利益が前年同期比29.8%増の826億円と、いずれも増加しており、じぶん銀行の連結化などを除いても、営業利益は2桁成長を実現したとしている。
またライフデザイン領域に関しては、QRコード決済の「au PAY」が10月5日時点で600万に達するなど好調に伸びているほか、ポイント残高も1000億円を超える規模に達するなど、拡大が続いているとのこと。有料会員サービスの「auスマートパスプレミアム」の会員数も、9月末時点で851万会員、浸透率も前年同期比18%増の55%に上昇するなど好調が続いているという。
一方のビジネスセグメントに関しては、国内のIoT市場が今後6年間で1.8倍と大きな成長が見込めると予測。通信からデバイス、クラウドまでを包括的に提供できるグループの総合力でIoTに力を注ぎ、さらなる成長を推し進めるとしている。
主力の通信事業に関しては、競争環境の激化によってauの解約率が0.77%と増加しているものの、傘下MVNOの契約数が前年同期比25.7%増の268万契約と拡大したことで、モバイルID数は2019年9月末時点で2709万に拡大。auの通信ARPAや付加価値ARPAなどを合計した「総合ARPA」も、前年同期比4.3%増の7770円、総合ARPA収入も前年同期比3.6%増の5694億円に増加している。
法改正でスマートフォンの値引き規制などがなされる9月までは駆け込み需要があったことから、「10月を見る限り、(携帯電話会社同士の)流動性は9月より落ちている」と高橋氏は話す。しかしながら劇的に端末の販売が落ち込んでいるわけではなく、あくまで想定の範囲内という認識のようだ。
しかし、法改正の影響は「まだ読み切れないところがある」とも高橋氏は発言。携帯電話会社同士による流動性は下がる一方、端末値引きのインセンティブが2万円に制限され、いわゆる“2年縛り”の解除料も大幅に安くなったことから、今後は安価なMVNOへの移行が増え、競争環境が厳しくなると見ているとのこと。そこで学割施策を例年より早め、11月1日より「auの学割」を実施したことに加え、今後も「11月、12月上旬くらいの動向を見ながら対応する」と高橋氏は話す。
一方の楽天モバイルに関しては、サービス開始当初は5000人の無料サポータープログラムのみに限定するなど、小規模でのスタートとなっている。この点について高橋氏は「春先から言ってきたが、仮想化ネットワークと、実際のネットワークを作るのは別問題で、基地局整備はそう簡単ではない」と指摘。高橋氏自身は10月に基地局が順調に揃うとは考えていなかったようで、予想通りの状況ではないかと評価する。
ただし、楽天モバイルへの対抗策を打つ必要がなくなったことが、業績改善につながっているわけではないとも説明。12カ月分の収益計画(マスタープラン)を立てた時と比べ、法改正を中心として非常に大きな変化が起きていることから「年度末に約束した増収増益を確保するため、同マネジメントするか考えるのが精一杯」と高橋氏は話した。
しかしながら、KDDIは楽天モバイルとネットワークローミングで提携していることから、楽天モバイルが小規模でのスタートとなりトラフィックが増えていないことで、ローミング料金収入が得られない状況であることは、KDDIにとってマイナス要素でもある。だが高橋氏によると、ローミングの料金には固定制の部分と従量制の部分があり、「トラフィックが上がらないから、ローミング費用がかかっていないわけではない」としている。
なお、台風15号・19号による災害対応については、延べ1万人程の人員をかけて早急な復旧を図ったとのこと。その一方で、台風19号では事前に被害が出ることが想定された地域での復旧準備を進めていたものの、「長野にまで行くとは思っていなかった」(高橋氏)そうで、他の地域と比べ長野県での復旧が1日遅れてしまったとのこと。「こういった災害が100年に1度ではなく、毎年のように起きている」と高橋氏は話し、今回の経験を踏まえ、災害対策には今後も力を入れていきたいとした。
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